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名古屋城天守閣フォーラム⑦ - パネルディスカッション -

さて、休憩を挟んで後半のパネルディスカッションへ。
途中、テレビの取材も来ていました。

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パネルディスカッションはこれまでの4名の先生方に、
近代建築史・まちづくりを専門とされている
瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授をファシリテータに
進められていきます。

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まずは木造復元の意義について、各氏から。

〔安藤氏〕
不幸にして失われた天守を今の時代に
どう意見を集約しどういう目的をもって将来に残すか、
木材利用と森林とのかかわりを象徴させながら
どう進められるか?という木造建築の「新たな」
歴史をつくるという意味において意義がある。

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瀬口氏は、ワルシャワの再建を例に出し、ポーランド国民の
ワルシャワを再建したいという情熱が再建建造物群が
世界遺産になっていることから、「破壊から再建までの歴史」
が評価されうるということをおっしゃっていました。

城郭建築の木造再建の場合、地球環境や木材利用を促進する
という現在の時代背景も含めて、大きなチャンスではないか?
ともおっしゃっていましたね。

〔千田氏〕
天守そのものは木造再建の価値はあるものの、
天守だけ再建するのではなく、名古屋城整備の全体像、
城郭としての魅力トータルの中に名古屋城天守木造再建を
位置づけることが重要で、天守だけだとその意義は薄い。

城郭の総合的な研究に基づく城郭整備という意味で、
金沢城や熊本城のように、対象城郭を専門的に研究する機関
を設置することが必要ではないか?

名古屋城総合事務所はあるものの、研究という側面で見ると
やや力不足は否めないのではないか?

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最初に千田先生は、名古屋のお生まれということで、
幼い頃の名古屋城天守のワクワクした思い出と
回を重ねるにつれ、子供ごころながらRC天守に対する
どこか違和感を持ったこと、それにRC天守としての役割…
を述べられた上で、名古屋城天守が再建されるとすばらしい
天守にはなると前置きはされていました。

また姫路城天守の天空の白鷺の例を出されていて、
是が非でも早く何とか再建するというのではなくて、
再建するとしたら、そのときにしか見せられない
経過をしっかり魅力として取り込んでいく
ということも必要では?というご指摘でした。

〔麓氏〕
特別史跡である名古屋城に木造天守を
再建するわけだから、史跡としての魅力や価値を
底上げするものでなくてはならない。
     
他城では非常に緻密で価値ある復元を
している城もあれば、こんなレベルでいいのか?
というレベルの再建もある。

名古屋城は藩政期の記録だけでなく、国宝期の記録も
豊富だが、だからといってすぐに復元できるものではない。
しっかりと時間をかけて詳細まで検討していくことが、
史実に忠実な再建、ひいては意義ある再建につながる。

正確に再建できる天守だからこそ、可能な限りの
努力を惜しみなくつぎ込むことが必要では?

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やはり、文化財的な価値や意義を求めるには、
しっかりと検証に時間をかけるべきってことですよね。

他城では、他所の城郭から参考にしたり、
一部想像も交えながら復元せざるを得ないケースも
あると思うのですが、名古屋城ほど史料があればこそ、
十二分に活かさないともったいないですよね。

〔三浦氏〕
価値が高い名古屋城天守だが、見えないところでの
現代技術を用いた補強は必要と考える。

金沢城や熊本城、必ずしも忠実な再建とは言いがたく、
名古屋城総合事務所も着実にしっかりとやっている
と考えている。
     
また木材を天然木の檜を使うことで、森林資源の
活用に資する。明治中期から大正期に植えられた
樹齢100~120年が相当再建に使え、再植林することで
CO2吸収が期待できる。宮大工の技術を伝えて、
後継者育成になることも見逃せない。

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名古屋城総合事務所の評価については、千田先生と意見を
二分されているようでしたが、三浦先生が現代技術の補強に
言及されていたのは、ちょっと新鮮な気がしました。

各氏のコメントでやっぱり気になったのは安藤教授。
ものすごく大事なことを指摘されている気がするのです・・・

というのは、城の歴史に関心を持って大事にしたい
という気持ちを持っているわけなんで、千田先生や麓氏の
コメントは非常にスッと頭に入ることではあるんですが、
未来に向けてどう再建を位置づけるかを考えたいんですね。

もちろん、そのためには城郭史や明治以後の城の歴史、
木造建築や石垣の歴史をしっかり知ることが必要ですけどね。

さて、途中に質問タイム。質問したいところですが、
ここは名古屋市民が主役にならねば・・・なので
グッとこらえます。ひとつ気になった質問をご紹介です。

以前の天守は五階建てで傾斜が階段が急すぎて
老人子供には登れなかったとあるが、再建時はどうするか?
まさかエレベータなんてことはないだろうね?

これには千田先生が答えてられましたが、
熊本城飯田丸五階櫓の例を出され、本来の階段とは別に
登りやすくまた避難も考えられた経路を
つくっているとのこと。

もうひとつ金沢城橋爪門続櫓の吹き抜けに設置された
エレベータなども言及されていましたね。

ま、再建に弾みがついてから考えればいいこと
ではありますが、エレベータはできるだけ
避けてほしいですね・・・ソフトで何とか。

ということで、再びパネラーの皆さんに戻して、
再建に当たっての課題をご指摘されます。

〔安藤氏〕
木材の調達に関してはなかなか難しい。
本丸御殿では芯去り材で太い材を集められたが、
芯持ち材をどう調達するか、太い木ならではの
乾燥の問題をどうするかなど課題は多い。

かつてのように大径木が簡単に調達はできないので、
極上の材だけでなく、それなりの材も含めて
ある材を組み合わせて使いこなしていくことが大切。

大径木は手に入るかもしれないですけど、そう多くはないし
他城でも復元運動が盛んになると
取り合いになるかもしれませんしね。

このあたりは、こだわりつつもどこか妥協する余地も
持ち合わせておかないといけないのかなぁ…
と複雑な気持ちにもなりました。

・・・ということで、再建の忠実性について、
麓教授の見解。

〔麓氏〕
何のために残すのか?ということ無視して、
まったく活用を考えない再建はありえない。
ひとつの観点だけで決めず、事業に関わってる人が
価値を損なわずに活用できる再建をするには
どうすればいいか?を考え議論することが重要。

麓教授は防災やバリアフリーなどの問題を
例に挙げられていましたが、経済的な観点(収益性の問題)や
観光政策といった観点もバランスよく
検討することが大事ですよね。

・・・そしてそのためには時間が要ると。同感です。

三浦先生も工期がかかる・・と指摘されていましたが、
三浦先生の秘策は?という問いに・・・

〔三浦氏〕
工期とは、名古屋城の整備計画全体から
天守造営をすぐには始められないことを指している。

少なくとも本丸御殿は完成が2018年(平成30年)。
また小天守内に保管された本丸御殿の襖絵を
西の丸米蔵を再建(ただし外観復元)して移管する
計画があり、これが2020年(平成32年)まで。

したがって、ここまでは事業計画上、天守再建に着手
できるのは難しいだろうと考えている。

エレベータに関しては、原則設置は認められないし、
金沢城の例のようなやり方だったら、再建しないほうがいい。
ただ、名古屋城天守クラスになると最上階で急病になったり
足の不自由な方は上がれないので、その方に対してのみ、
使用可能なエレベータの設置はありえる。
     
材に関しては、木曽檜の無節材60-90cm直径だが、
芯去り材だったと想定できるが、
芯持ち材を使わないといけない。

芯持ち材はひびが入りやすく、明治以降の技術で
対策はあるが、むしろ400年前のままを再現することで
逆に回避できると考えている。

伐ってすぐに使わないといけなかった往時は、
葉をつけたまま放置をすることで葉から
一気に水分を抜く方法を採っていた。
これでやれば、芯持ち材でも問題ないはず。

浜松城天守門の再建では、先駆けてその方法を実験的に
試してみてもいて、1ヶ月の乾燥で
ヒビが入らずに済んでいる。

なるほどねー、浜松城ですでに実験されてたんですね!
単に名古屋城や江戸城だけでなく、
多くの城郭の再建に向けた大事な検証ですよね。

着工開始はわたしも2020年以降でいい気がするんですよね。
江戸城はそれなりに検討されてきた歴史がありますが、
その意味では、まだ名古屋城は日が浅い。
もっともっと議論が必要だと思うんですよね。

エレベータはねぇ・・・急病人が出たらどうするんだ!
は判る気はしますが、ハードではなくソフトで
なんとか対応できる方法をまず考えたいものです。

そして、最後は千田先生で締め。
名古屋城総合事務所は、総合研究所くらい銘打ったら
いいんじゃないか・・というお話から、
もう少し名古屋城にお金を回して・・という懇願(笑)

他にも名古屋城天守の博物館機能をどうしていくか?
なども含め、名古屋城の魅力を幅広く捉えながら、
名古屋城の行く末を見守っていきたいものです。

あれ、千田先生で締めか?と思いきや、麓教授にも。
出来上がったあとの維持管理について言及。

本丸御殿だとこけら葺きがまず傷んできて、
往時は30年~40年に一度、最近では20年もたないと
言われているそうですし、天守を再建したならば、
漆喰壁をはじめ、細やかなメンテナンスが要りますよね。

でもね・・・こういうことこそ、伝統技術を伝えていく
という実践的なことだと思いますし、建てて終わりじゃなく、
大切な文化財にしっかり寄り添う気持ちが
まず大事かなと思います。

締めた後、千田先生にご挨拶したいな・・と思いましたが
取材ラッシュでムリそうだったので断念(泣)

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ということで、江戸城もいいけど、名古屋城も
がんばってほしいなーと想いを新たにした1日でした。

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