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2014年5月

秩父ウイスキー祭り・・・本祭!その3 マルスウイスキーの未来

さて・・・5月は私用で忙しくあまりブログに時間が取れず、
ほとんど放置状態でした・・・いい加減信玄公祭りから
2ヶ月が経とうという有様・・・はい、つべこべ言わずに
書きますよ、時間は掛かりますが(汗)

さて、セミナー2本目。信州マルスです。
ちょうど祭りがあった頃は大雪で(すでに暑い今日この頃)
所長さんが滑って転んでしまって、急遽代役の白羽の矢が
立ったのは・・・入社1年目の草野さん!

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すごく意欲的だし、物怖じしない方だし、
緊張していてという紹介されてはいましたが、
非常にこれからの人、から話を聞くという、
貴重な機会だったんじゃないかな、と思いました。

さて、その信州マルス蒸留所、軽井沢がなくなったことで
現在稼動している日本の蒸留所で最も標高の高い
蒸留所ということになりました。標高798m。

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そして中央アルプス、花崗岩質の山々だそうですね。
花崗岩・・ということは、そう白州と同じですね。
山々に降り注いだ雨水が花崗岩に濾過されて、軟水に。

そういえば、御殿場も富士山の地質に染み込んで
磨かれた水をマザーウォーターとしていますし、
このあたり、山手にある蒸留所の共通点かな。

さて、マルス再開したとはいえ、フルシーズンで
製造しているわけではなく、1月から4月、
ちょうど寒い頃になっています。

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寒くて乾燥していて、バクテリアの繁殖がしない?
間につくるんだとか・・・設備が古いということも
あるようですが、まぁ正直なコメントですね(笑)

再開して1年目の仕込みは33t、2年目は48t、3年目66t、
そして4年目に当たる今年は90tにまで達しています。
来年は120t、再来年は180t・・・ということで
今後もなかなかお休み取れないほどの大忙しだそうです。

仕込む種類はコンチェルトというモルト。

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オプティック種をよく聞いていたように思うのですが、
再開初年、2年目はオプティック、3年目はティップル。

そして4年目は、コンチェルト・・・と試行錯誤しながら
アレコレ試されているようです。すごくいい・・・と絶賛。

以前まではオプティックが主流だったようですが、
ここ最近は、このコンチェルトがスコットランドで仕込まれる
モルトのうち3割程度まで増えて、主流になりつつあるそう。

みんな気になる(?)フェノール値ですけど、
初年度は7ppmと10ppmの2種類。2年目3年目は、
3ppm、20ppm、50ppmとややピートが強め。
今年からはノンピートもやるそうですね。

とにかくスタートラインということで、
いろんなチャレンジをして、信州に合うものはなにか?
を探っていきたいというのは、肥土さんの考えとも
共通するものがありますよね。

続いて、グリッツ・ハスク・フラワーの比率・・・
正直今までほとんど見てませんでした!
よろしくないですよね・・の暴露に会場爆笑!

もちろん感覚的にはわかってらっしゃるんでしょうけど、
フラワーをできるだけ少なめにしようとしている
というのが印象的です。目詰まりさせないほうが
優先なんですね・・・!!

さて、糖化工程。三宅製作所1985年製のマッシュタン。
三宅製作所・・どこかで聴いたなと思ったら、
ニッカの連続式蒸留機を移動させる話で、
伺ったお名前でした。ふむふむ。

一番麦汁については、お湯を75℃程度で約4,000ℓ。
62~3℃あたりで酵素投入。酵素の至適温度に当たるそうで、
なるべく分子の大きな糖を残さず、単糖に分解しきる
という考え方で糖化を進めているそうです。

このキレイなウイスキーを・・・というのは、
南信州ビールの方に糖化工程をアドバイスもあるんですって。

ただ、ヘビーピートの時には温度を上げて、
デキストリン残して重厚感を残すことも考えたいと・・・
なるほど、糖化工程でヘビー~ライトの違いって、
こういうように出すものなんだな。

でもたまには、濁らせてみたり・・・なんてことも?
上の人にやりたいようにやらせてもらってます!
とすっごく素直で包み隠さない発言に一同爆笑!

そして、もうひとつの糖化の特徴として、
三番麦汁を取ってないんだそうです・・・お湯を確保する
タンクがないそうで・・でも、残存した残りは
やっぱり、飼料として提供はしているので、
他メーカーよりおいしいのでは?と(ここでも爆笑)

一番麦汁の初めは糖度が23度くらいの非常に甘い汁、
二番麦汁で15度くらいから始まって最終的には1%程度まで。

続いては、醗酵工程。

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これ、ウオッシュバック、鉄製なんですって。
鉄製・・・超メンテナンス大変そう。
錆びちゃったら終わりよね(汗)
アルカリ用洗剤でゴシゴシして、殺菌して・・・
メチャンコ大変ですわな。

写真左下が酵母だそうで、蒸留所開設時から残っている
スラント培養酵母。これにドライイースト、
南信州ビールのエールイーストの4種を今年は使用。

いずれの酵母が作り出すニューポットが全然違っていて、
培養酵母でも穀物系の香りに対し、もうひとつのほうは
バナナのようなフルーティな香りを出しているそうな・・・

ドライイーストになると、酸の効いたマスカットのような、
エールイーストはすっきりした酒質だそう。
十何年後経つと、大きな違いになって出てくるんでしょうね。

ちょっとおもしろかったのが、醗酵した後の度数が
普通だと約7%くらいですよーというところだけど、
7.2%を目指したい、一回の麦汁5,800ℓに対し
400ℓ超えたいな・・アルコール収量を目指したいと。

ただやれば7%に出てくるんじゃなく、
目指すものなんだというのが、ちょっとおもしろかったです。
オプティックで420ℓ程度、コンチェルトをつかっていて
400ℓというのは少ないと思うんですが・・・と。

さて、蒸留。

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キレイな酒質のウイスキーを・・・ということですが、
ウオッシュスチルもスピリットスチルもストレート型ですね。
ネックは気持ち下向き、特にネックの先がキュッと狭まり、
5cmくらいしかない・・・のが特長とか。

なんとなく特長としては、重い酒質をつくるニッカの余市を
思い出させる形状だけに、今のつくりたい方向性とは
ちょっと違うのかもしれませんねぇ。
新しいスチルを導入できたらおもしろいんでしょうけど。

ただ、キレイなウイスキーをつくろうとしてきていて、
なんでこのストレートヘッド?と素直な疑問を草野さん(笑)

なんとなくですが、再開前の原酒を飲んでいる限り、
ニッカ余市に近いものがあるので、あまりキレイなウイスキー
というコンセプトとは違う気がするんですよね。

あのスチルも岩井喜一郎の設計ということは、
竹鶴ノートから生まれた余市のスチルとの兄弟スチル
という風にもいえると思いますし・・・

つくりの方向性を変えた結果、どう化けるかも
それはそれで楽しみなところではあります。
ま、そのチグハグさもウチらしさかな?と(笑)

スチーム加熱のためのコイル、ウオッシュスチルが二重。
スピリットスチルが一重だそうです。初溜はパワフルに熱し
ダッと冷やすのに対し、再溜はじっくりと・・・

このスチル、1960年製でかなり薄くなっているそうで
薄いところだと1mmを切っているようなところも!
そろそろ・・ということで型のトレースをして
導入しなおす計画もあるみたいです。
ストレートとバルジ両方があればいいんでしょうけどね・・・

アルコール取り出し。ミドルカットは度数的には
上が75~3度、下が60~63度が目安。でも最終的な決め手は
やっぱり官能チェックですよね。収量悪くても
ダメそうだったら泣く泣く早めにカットすることも。

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さて・・・最後は熟成。縦五段のラック式、
総数600丁の樽が眠っているそうです。

20140329170506_2

再開以前の原酒は1割を切っている・・・そうですから
50樽くらいなんでしょうかね?ということで、
2月時点で新しく樽庫を建設しているということなので
もう今頃はできあがっているのかもしれませんね。

樽種では、日之城のワインカスクとかって、
マルスならではだなーという気がしますよね!
昨日までワインが入っていたようなフレッシュな樽が
手に入るのは、ワインもやってるマルスの強み。

おもしろい話として、再開後の原酒を信州だけじゃなく、
鹿児島に持っていって鹿児島でも熟成しているとかで・・・
Malt Of Kagoshimaや薩摩といったウイスキーも
かつてはあっただけに、これまた将来が楽しみ☆

しかも、屋久島にも持って行ってる原酒もあるとか・・・
楽しみだなぁ・・・マルスさんかなり精力的。

そんなマルスももう再開して3年。ウイスキーと呼べるまで
成長した原酒が出始めるんですよね。また来年は
違った3年物になるはず・・・・

ここ10年くらいはいろいろ変わるでしょうね、ですけど
試行錯誤しながらマルスとしてどのような志向がいいか?
を決めてゆかれるんでしょうね。

長い目で見守っていて下されば、いつかきっと
最高のウイスキーを造ってみせると力強いコメントを
くださった草野さん。緊張して話しているようではなく、
すっかり貫禄すら感じる様子でしたね。

さて、ティスティングタイムです。
持ち帰ってきた駒ケ岳22年。アメリカンホワイトオーク2丁、
シェリーバット1丁、スコッチ(中身不明?)を
リフィルで一度寝かせた1丁をバッティング。

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おっしゃるようにバランス感がよいですが、
香りには特にホワイトオーク由来のバニリック感、
削りたての鉛筆、新築の木造家屋。

シェリーもまぁまぁ喧嘩せずにうまくなじんでいますよね。
少なくともシェリーの厭なところは感じさせない。
つづいて蜂蜜や酸味のあるフルーティさもありますね・・・

口当たりは若干樽由来の渋みも感じられますが、
新樽ヲタク(笑)にとってはこの渋みすら、
心地よく感じられますよね。カスクのホワイトオーク樽も
方向性は同じですがかなりドカーンと爆発していますが、
いい感じでおとなしくまとまりつつ、芯は強い印象。

そして、樽感の感じ方がやっぱりどことなく
ニッカを思い起こさせるんです。なんとなく・・・

これだったら、売り出したときに買っておけば
よかったなぁ・・・と今更ながら後悔。

この後の質問タイムでも草野さんの入社のいきさつだったり、
けっこうお話し上手で笑いが絶えない時間でした。
ちょっと興味深いのは、ワイン樽って複数の樽種をつかって
組むことが普通にあるそうで・・新鮮ですね。

しかし、秩父ももちろんですがマルスも楽しみですね~
いいお話が聴けました!

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