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ブレンダーズ・トークライブ in NIKKA BLENDER'S BAR

さて、ウイスキーネタその2。すでにこちらも
2ヶ月も前になってしまうのですが・・・
NIKKA BLENDER'S BARのイベント。

普段だったら、新商品に搦め手じゃなくて絡めて
というのが多いのですが、今回はブレンダーの方を
招いてのトークイベント的な感じで、
印象に残ったウイスキーやブレンドされたウイスキーを
いただきながら、お話を聞いてまいりました。

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お話されるブレンダーは、佐久間チーフブレンダーと
綿貫主任ブレンダーのお二人です。

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にこやかな佐久間さんに比して、
綿貫さんはちょっと緊張気味でしょうか(笑)
さて、いよいよトークライブの開始です。

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■入社のきっかけ

佐久間氏:
大学で微生物を研究されていたということ、
そして、ニオイや香りに興味をずっともたれてきた、
ということだそうですね。そして、食品業界に進む
卒業生が多い中、酒類や香料、たばこのような、
香りに関係した業界への就職をご希望だったようです。

そこで、教授からニッカが募集してるけど受けてみない?
という後押しもあって、受験・合格されたと。

平凡といえば平凡ですが、漠然とでもこういう方向に
進みたいなと思って入社され、その「進みたいな」と
思われた道を歩んでいけるというのは、しあわせですね。

綿貫氏:
農学部ということで、酒類や醸造・蒸留とは関係は
なかったそうですが、たまたま付いていた助教授の方が
お酒が好きだたそうで、あるときブラックニッカの味が
変わった!と飲み会でおっしゃっていたそうで。

実際は、スペシャルとクリアブレンドの違いとかじゃ?
と綿貫氏本人もおっしゃっていましたが、
当時の綿貫さんには、すごく印象に残ったそう。

それから、ニッカが気になってリクナビ
(わたしも活用しました)で応募がなかったにもかかわらず、
ニッカのページを探して、挑戦されたそうです。

その当時の綿貫さんのニッカの印象は、
地味なんだけど温かい。なるほどな・・と外からしか
見ることができない我々でも想像できる雰囲気ですね。

■普段のブレンダー

佐久間氏:
ちょうど今は、年間の大きな処方(レシピ)を造る時期で、
ブレンダーの皆さんはお忙しい時期だとか。
(個人的に、ブレンドの内容を処方と表現されるところが
 興味深いなと思うんですよね)

その合間合間に各蒸留所のサンプルの点数付け、
キッチリと品質のよいものができているかどうか
のチェックが入るのだそうです。

そしてここでチェックしておいたサンプルをイメージして、
レシピを造る際に千数百あるサンプルから、
一日100種類くらい(これが限度)をティスティングして
点数をつけたり、メモを残したりします。

大事なのは、香りや味わいの表現方法を揃えるということ。
もちろん、消費者としていただく際にはあれこれ勝手に
表現をするわけで、それはそれいいのですが、
つくる側としては、そこをそろえないと製品のベクトルを
合わせられないから、表現に気を使うんでしょうね。

こういうのを「擦り合わせ」というそうですが、
日本的な「和」の精神を感じますよね。
擦り合わせ、わたしもシゴトでも使いますから(笑)

綿貫氏:

さて、上司の前でのプレゼントなった綿貫さん・・・
厳しい指導を受けて、ちょっとでもダメだと
「もう一回!」「やり直し!」と厳しい言葉が・・・
というのが冗談で(笑)

先ほどの「擦り合わせ」があるので、何がよくて
何がよくないかの共通認識はブレンダー室内で
共有されているそうなんですよね。

お題が与えられさえすれば、ほぼ皆が同じベクトルの
ブレンドにに向かえるように研鑽されている、
ということですから、ニッカとしてのあるべき姿を
人に依存せずに、ブレンダー室の誰もが目指せるよう、
努力されているんだろうな、と思いました。

この「人に依存しない」というのは、ビジネス上
ものすごく大切なことで、誰かがいないと
ビジネスがまわらないというのは、シゴトとしては
まだまだレベルが高いとはいえないと思っています。

ウイスキーのブレンドのような、人の官能に依存する
ように思えることも、きちんとその代替可能性を
目指されているんだな、というのが興味深かったですね。

一方で、ブレンドの着眼点の差が個々人のブレンダーさんの
レシピの個性を形づくっているんでしょう。

■ティスティングのコツ

佐久間氏:

まずビックリしたのが、鼻の中をティシューで
掃除するんだそうです(笑)

それから、香りを感じる場所を意識すること。
手前、奥や左右もあるそうですが、手前で感じたら
どうなるんだろう、奥なら・・・などと意識して
感じてみるようにされているそうです。

綿貫氏:

綿貫氏のコダワリでおもしろかったのは、
鼻息をウイスキーに吹きかけ、帰ってくる香りを
感じるというもの。これはおもしろいなぁ…

主によろしくない香りがないかどうか?
を判別するのにやるそうですよ。

■ブレンダーのシゴトをしているとついやっちゃうこと

佐久間氏:

ブレンダーだから・・・というわけではないでしょうけど
なんでも香りを嗅いじゃうそうですね(笑)
すっごい分かる!とりあえずにおい嗅いじゃうという。

あとは、他社のお酒が出ると真っ先に飲みたい!
のだそうですね。これはこれで分かりますね。

綿貫氏:

外を歩いていて、ふと何かの香りを感じると
何の香りだろう・・・と意識がむくかな?とのこと。

あと、居酒屋では自社の製品が使われている
メニューなんかには目がどうしても向かうそうで。

やはり、ご両人とも香りには強いご関心があって、
特に意識することもなく、自然と香りに心が向くんだな
ということと、他社の製品や自社製品がどのように
飲まれているのかは、やっぱり気になりますよね。

■お気に入り&思い出深いウイスキー

佐久間氏:

1982年ご入社された当時、国産の麦芽はノンピート、
大部分は、輸入してピーテッドモルトを買っていたそう。
輸入麦芽量も今よりもはるかに多かったと。

スコットランドであれば、あたりに大麦畑が多く
たいていはそれで賄え、不作のときでもイングランドや
ヨーロッパ大陸から輸入する程度。

一方、日本はヨーロッパ・カナダ・アメリカ、
オーストラリアなどから輸入。日本のピーテッドモルトの
需要のために、ピーテッド設備をわざわざもっていた
オーストラリアの業者もあったそうです。

し・か・し。そんなピーテッド全盛だったあるとき、
スコットランドでも使っているらしい、と聴いた
原料購買担当の佐久間さんは、ノンピートに目をつけます。

しかも、1988年まではビール用のノンピートモルトには
関税が掛かる一方、ピーテッドモルトは食用転用
できないこともあり、無税だったそう。

その関税が撤廃されたこともあって、ノンピートを
有利に買える条件が整って、当時チーフブレンダーだった
佐藤繁生氏に相談したところ、まずはやってみようかと。

しかし、つくってみてはものの、ピーテッドのイメージで
ウイスキーを考える当時のニッカ社内では、
散々にこき下ろされたそうで・・・麦臭いと(泣)

ただ、一方でスコッチでもノンピートの利用が増えてる
ことも事実で、貯蔵してみないことには
どう化けるかわからないよね、と継続して使えることに。
(このあたり、それでも使ってみようと判断するのがスゴイ)

そして、5,6年経ったところでコレは使えるんじゃないか?
ということで、ノンピートを買い始めて10年、
ブラックニッカクリアブレンドが1997年に発売され、
ヒットに繋がっていくんですね。

ということで、余市と宮城峡の特にノンピートで、
1988年当時ノンピート輸入開始時のモルトで
蒸留した中でも、麦の香りが強いものをヴァッティング。

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トップノートでかなり酸味。麦の香りが強いのを
自分が酸味と受け取るんだなという発見も。
ただ、トワイスアップくらいにすると、フルーティーさと
ビックリマンチョコのウエハース的なここちよい甘さ。
わたしにしては珍しく、これは加水した方が好みでした。

余市のほうはシェリーの2回転目らしく、
あまりシェリー感はそうなくって、言われるまで
気づきませんでしたね。

綿貫氏:

綿貫さんは、実はシークレットでした。
うーむ、なんだろうな・・・伊達かな?でも、
綿貫さんじゃないしなぁ・・と思っていたらですね、
あぁ、っとリッチブレンドでした。綿貫さんの作品。

わたしもね、リッチブレンドにはちょっと伊達の
雰囲気を感じるんですよね・・・初代伊達のほうね。

そして、このあと冷凍されたリッチブレンド。
このとき、ちょうどブラックニッカバーをやってる頃で
氷点下ウイスキーを出していたということで、
それに合わせて、ということなんでしょうかね。

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どうしても香りは抑えられちゃうけど、
飲み口はなかなかいいね。ハイボールもいいけど、
夏の飲み方としてアリかもしれないね。
(夏もう終わりやん。笑。)

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そして、それぞれ造られたブレンダーズウイスキーNo.16
No.14を復習。

最後に、ブレンダーとして心がけてること。

■ブレンダーとして心がけてること

佐久間氏:

責任者・・としての立場もあるのだけれども、
ブレンダーとしては、あまりそういうことばかり考えず、
ブレンダーの皆に伸び伸びと仕事をさせられる環境を
しっかりつくりたいとおっしゃっていました。

なんどか「優秀な部下」というキーワードを
出されていて、こういった客の前でそう表現してもらえる
というのは、うれしいことでしょうし、
上司と部下、しっかり信頼感を持って仕事されているな、
といううらやましい感覚を持ちましたね。

綿貫氏:

人に合わせるということをおっしゃいました。
まだブレンダーとしては、比較的キャリアが短い綿貫さん。

ブレンダーに配属されて、けっこう不安もお持ちだった様子。
そんな中で、コワい先輩(Y下氏?笑。)に指導される中で
俺は俺をつくっている、という話をされたそうですね。

ちょっとウイスキーから離れて、シゴト論になりますが、
これまで受け継いできたブレンダーとしての核の部分を
また引き継げる人材に育ってほしいということ。

逆にそれは、綿貫さんへの期待の現われでもある、
ということが言えましょう。そして、まず一歩として
品質を崩さない、一定の品質にキープするということが
基本なのだな、という点も改めて思いましたね。

その「人に合わせる」努力の結果生まれてくるであろう、
見えてくる人に合わせられない部分が今度、
綿貫さんの個性として、製品に反映できるようになると
いいですよね。

〆は、佐久間さんから、ニッカのいいところ、
としてお話頂きました。

■ニッカのいいところ・特徴

ニッカとして竹鶴政孝の精神として染み付いている
考え方は、「美味しいモノを手の届くところで」

これは、わたしもそうだなと思います。
世界の賞を取っているラインアップでも分かりますが、
低価格帯の商品への評価が高いという点は見逃せません。

とびっきり美味しいウイスキーももちろんいいのですが、
継続的に飲めるウイスキーこそが一番会社としても
飲み手としても接する機会が多いわけですしね。
わたしも好きなニッカの一面ですね。

もうひとつは、「伝統は変えない」

ノンピートのようなある種革新的な(?)ことも
やってはきたわけですが、それもスコッチが
そういうことを始めたから、やってもいいだろう、
という判断もあったようなんですよね。

新しい蒸留設備の加熱方法として、スチーム加熱を
宮城峡へ導入したのも、スコッチもやり始めていた
という状況もひとつの決め手だったそうです。

余市にしか蒸留所がなかったころから
スチーム加熱は熱効率もよくいい方法だと知っていたそう。

しかしながら、もちろん余市の味は変えたくない、
という思いとともに、スコッチのやらないことを
先んじてやってはならん、という気持ちもあったようです。

やっぱり、ニッカにとって、政孝にとって
スコッチは先生なんですね。ニッカ的だなぁとは思う反面、
進取の気性とのバランスが難しいですよね。

おそらくサントリーとの極めて違うところでしょうし、
好みと意見の分かれるところでしょうね。

そして、綿貫さんからこんなエピソードの披露も。
最近、ジャパニーズが評価されてますが、
政孝翁はどう思いますか?という問いにも竹鶴威相談役は、
喜ばないと思います、と。三歩下がって師の影踏まず。
どこまでも明治の日本人らしい精神だなぁ、と。

わたしとしては、ニッカ的だと思う味わいそのものに、
実はそう「スコッチ性」を感じは持っていなくて、
単純に飲んでみて、好きというだけなんですけどね。

そして佐久間さんから、そういうニッカの特徴と
信念がある上で、全体としては酒はいろんな酒があってよく、
あれがいいとかこれが悪いとか、絶対的な優劣を
つけたり、直線的にスペックで捉えるものではない、と。

その中の一角として、ニッカはこういうウイスキーが
美味しいと思ってつくっていて、そこを理解し
応援していただけたらうれしいな、と。

こういう考え方は、たぶんサントリーもキリンも
皆同じく持っておられそうですよね。いいなぁ。

・・・今回は、ティスティングとして新しい内容は
少なかったですが、こういう取り組みも悪くないですね。
ファンとしても、定期的にブレンダーさん方と
お会いできるのはうれしいですしね。

佐久間さん、綿貫さん、酔い時間をありがとうございました。

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