GWの西日本城攻め・・・現存櫓を追う!その4 高松城月見櫓。
さて、岡山から瀬戸内海を渡って・・・
久々の四国入りです☆
blogを遡ってみると、四国は2008年以来とのこと!
意外と行ってないんだ・・
ちょうど天守台の解体をやっていたんだっけ。
天守台も見事に復元されてますし、
なにより見たかった月見櫓に入れる貴重な機会!
普段、GWはあまりお出かけしないのですけど、
月見櫓に入りたい・・その一心で計画したのでした。
# んで、明石城や備中松山城もついでに・・(笑)
天守台修復完成を全面的にアピール☆
この日は5月5日、ちょうど玉藻公園として
一般公開が始まった日らしくって、無料公開。
個人的には、お金とってでも常に月見櫓を
公開して欲しい・・いや、事前予約制でもいいから
公開してほしいもんだよ・・・月見櫓だけで
1,000円とかでも払う自信ある。うん。
黒鉄門跡(玉藻公園西門)。石がデカイですよね!
焼失したような跡が見られますが、
ここも焼失したんでしょうか・・・
黒鉄門の脇には、二基の櫓を備えていたようです。
北側に廉櫓、南側に弼(ゆみだめ)櫓。
んで・・出ました月見櫓!大きさも風格も
もはや天守と言ってもいいくらいではないでしょうか!?
水手御門とのセット。藩主はここから参勤交代。
いわば、海の大手門とでも言うべき門。
海に向けて直接門を構えてるのって素敵よね・・・
当時は、回り見渡す限り海が広がっているわけです。
壮観だっただろうなぁ・・・海や水辺の風景が
元々好きなので、想像をたくましくたくましく。
破風が多い月見櫓も、内側は控えめ。
まずは、水手御門に連結している渡櫓から
潜入します。ここもけっこう貴重。
入ると、ふぁっと香る古い木造建築のよい香り。
香りで表現するトコが・・・(笑)
梁材の加工がいいねー!ダイナミックで見惚れちゃう。
この渡櫓、生駒家時代には少し北側に寄ってたらしい。
そんなこともわかるんだなー!
この渡櫓のもうひとつの特徴、波打った波形真壁。
これは、生駒家時代から引き継がれている特徴もあって。
通称「のたぐり壁」というこの壁はここの他、
彦根城佐和口多聞櫓にしかみられないそうですぜ。
城郭以外によく使われているようで、
防火性が高いんだそうです。海に面したここに
その壁が何故用いられたのかは謎ですね・・・
渡櫓からの眺め。妄想をたくましくして、
見渡す海を・・・
水手御門。門自体は小さな門。
本来は海だった場所から・・・
右手が渡櫓、左手が月見櫓続櫓。
ちょうど門の左右に対称的に並んでます。
月見櫓の石垣。直線的。
さすがにここに武者返しは要らないのかな。
あらためて、月見櫓。やっぱり天守の風格。
続櫓が南面の唐破風にザックリ挟まってる(笑)
逆側から。それでも唐破風をつけるところが
おもしろいですね。
月見櫓を見上げてニヤニヤ。
さて、再び上がって東面から。
東西両面の意匠は、全く同じですね。
切妻破風の蕪懸魚。六葉部分に葵紋が!
この例はけっこう珍しいんじゃないかな?
振り向いて渡櫓を見てみてもそうだ。
高松城の特徴だなっ!
さて、渡櫓から天守・・じゃなかった、
月見櫓に入っていきます。いやー、ウレシイ!
外見は対称的でしたが、内部構造には
のたぐり壁はないようですね、続櫓。
頭上には見事な梁の交差。職人技が光りますな~
天守の構造を月見櫓から探る・・という興味深い解説。
気になるポイントとしては・・・
(1) 軒裏の塗籠方法が天守と月見櫓で同じ平塗
(2) 月見櫓の内壁が真壁造りでもより強固な
二重木舞の壁下地で、彦根城天守と同様の形式
ということ。つまり、月見櫓が左官工事の観点で見て、
天守格の扱いを受けていて、高松城天守との共通性もあると。
非常に興味深いですね・・・
ただ、彦根城天守とは違い二重木舞の間隙には、
砂利や瓦は見つからなかったそう。重くなるわけですし、
江戸時代のいずれかの間に抜かれたのかも。
さて・・貴重な月見櫓の修理中の様子。
四天柱と呼ばれる月見櫓の心柱。
一階から三階までを突き抜ける大事な柱。
そして、現役の四天柱。とてもただの櫓とは
思えない極太の立派な柱に大感動。
二階への階段の左右の柱が北側の二柱。
ただ、ひとつの樹からさすがに切り出せず、
二階部分で接木をしてありました。
姫路城大天守と同じ「金輪継」という継ぎ方。
そして、最上階までずどーん!
んで、もうひとつ驚きだったのが、
天井の高さ!4m~5m弱はあるでしょうか、
ものすごい空間の広がりを感じるんですよね。
三浦先生に天守がなぜ階数を増やさずに
五層が主流になっていったか、という点について、
一階一階の高さを高く取ることで空間の広がりを出し、
圧倒感を出す・・ということをお聴きしたことを想起。
ここで感じたのもまさにその感覚でした。
ちょっとここでもただの櫓ではない、という印象。
一階の階段から・・・この見え方一つとっても、
かなり天井までの高さがあることが
見て取れるのではないでしょうか。
また、構造的にそうなってしまったのか、
意図があってのことかはわかりませんけれど、
武者走りを周りに配したような点も、
どことなく天守の風格を感じる点でしたね。
さて、二階に上がりましょう。
(さっきもう二階紹介しちゃったけど)
ここでぐっと逓減しますね。
外観以上に床面積が狭くなった印象です。
高松駅方向、海が広がる想像中。
葵紋がずらりと並びますが、いくつか
ひっくり返ってるものも・・いいのかな?(笑)
唐破風の優しいラインもいいねぇ。
北側の埋め立て部分は、フェリー乗り場になってます。
まぁ、しょうがないよねぇ。
この床!なんとなく周りが武者走りっぽいよね!
武者走りの割には、狭いけどね(笑)
ようやく三階。
やはり、ここでも見上げて梁を楽しみます。
この辺は後世の補強でしょうかねぇ。
たぶん当時なら、こんな補強の仕方はしない・・・
鯱。先代の鯱でしょうかねぇ。
三階から渡櫓方面の眺め。屋根瓦が重なるさまは、
やっぱり惹かれるなぁ。美しい。
しかし、唯一残念だったのは、落書き。
漆喰に書かれた落書きなら、漆喰を塗りなおせば、
まだ隠すことはできるだろうけど・・・
心柱に書かれてしまった柱はどうしようもないか。
年代的には、昭和二十年から四十年代くらいまでが多い。
もう五、六十年前になるわけだが、馬鹿の痕跡は消えず。
・・・月見櫓に時間かけすぎちゃった(苦笑)
天守台と艮櫓にも行かないとーっ!
| 固定リンク
「旅行・地域」カテゴリの記事
- 武田氏館西曲輪発掘調査現地見学会 + 桃と桜と信玄公 3/18(2017.06.03)
- 2017年・・・・もまた濃すぎて ~ 2/10-12 会津⑤ 御薬園・会津武家屋敷 with 絵ろうそく(2017.05.20)
- 2017年・・・・もまた濃すぎて ~ 2/10-12 会津④ 吹雪の会津若松を彷徨う(2017.05.06)
- 2017年・・・・もまた濃すぎて ~ 2/10-12 会津③ 鶴ヶ城縄張考察・・・武田と丸馬出を求めて(2017.05.06)
- 2017年・・・・もまた濃すぎて ~ 2/10-12 会津② 絵ろうそくまつり@鶴ヶ城~(2017.05.06)
「イベントレポート」カテゴリの記事
- 去年の今頃はシリーズ(8-2) 講演:恵林寺講座 平山優先生に聞く武田信玄公 品第一(2017.03.16)
- 去年の今頃はシリーズ(8-1) 講演:恵林寺講座 平山優先生に聞く武田信玄公 品第一(2017.03.16)
- 講演:第86期「歴史文化教室」 武田勝頼の滅亡と景徳院 … 景徳院 武田勝頼・信勝・北条夫人供養塔の研究成果(2017.03.11)
- 「作曲家 植松伸夫の創作の軌跡」(2017.03.06)
- 講演:日本の木造建築技術の至高・江戸城天守復元(2017.03.06)
コメント