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Whisky Festival Tokyo 2012(セミナー編)

竹鶴ノートを読み解く・・という魅力的なタイトル。

竹鶴ノートが書かれたのは1920年ということは、
今から90年以上にも前、現代語とは少し違うわけで。
貴重な現代語訳をした竹鶴ノートを頂きました。

Taketsuru_note

この史料の貴重さは、単にニッカファン、
ジャパニーズウイスキーファンにとってだけでなく、
この時代のスコッチウイスキー製造の実情を
知ることができる、唯一といっていいほどの史料。

英文文献でもあまりないそうで、それを
日本語で読めるというありがたさ。感無量です。
ただ、写真がないんで写真を見ながら・・という項目は
なんのこっちゃいな?という感じですが(汗)

土屋さんがおっしゃるに、現代から見て、
こんなことがすでにわかっているのかという驚き、
そして逆に、こんなこともわかっていないのか?
という驚きがある・・とのこと。

わたしも少し斜め読みして気になったところを・・・

(1)蒸留所の位置

モルトウイスキー蒸留所は、海岸に面している一方、
グレーンウイスキーは、海岸近いといいものができず
だから蒸留所は、内陸にとあります。

竹鶴翁は、その理由はわからないとおっしゃってますが、
なんとなく・・・海上輸送の便から見て海岸近くを
選んでいて、ピーティさや塩気のあるモルトが
当時はより多かったんじゃないかな、という気がします。

グレーンウイスキーは、ある種割り材ですから、
これに塩気が付いちゃったら、飲みやすくはならないですから
運送の都合は悪くても内陸に・・・なんでしょうね。

(2)日本における製麦施設建築の記述

日本で製麦施設をつくる際に、一気にデカイ施設を
どーんとつくるんじゃなく、成功できるか不透明なため、
小規模につくっていきましょう、という提案。

これはこれでいいんですが、竹鶴翁は木造三階建てで
1階は発芽床、2階に大麦を水に浸す貯水池、
2階と3階を大麦貯蔵室に・・とのこと。

結局、日本産の麦で蒸留することはほとんどない
現在ですが、木造建築とコンクリ建築で
何か違いは出てくるのだろうか・・と思っちゃいました。

(3)原料

当初、竹鶴翁はスコットランドで麦の栽培も
されてると思っていたそうですが、実はほとんど
カナダ産ということに驚かれています。
(アイルランドからも輸入)

そして、カナダ産の大麦は日本産に似ている?
ということで日本産も使えるんじゃないか、
ということも書かれておりますが・・・

そもそも、竹鶴ノートに麦芽の種類についての
記述がないんですよね。酒造向けには二条大麦、
麦茶や食用には六条大麦なんですけども。

これ、竹鶴翁が学んだネトルトン博士の
「ウイスキー並びに酒精製造法」にも記載がなく、
当時は、一般的に区別してなかったようなんです。

竹鶴ノートに書かれてある、スコットランド産大麦と
カナダ産大麦の乾燥時の重さの変化の違いと、
竹鶴翁自身が、麦の種類をご存じなかったとすると…

土屋さんは、このカナダ産大麦はグレーンの糖化に
つかう六条大麦なんじゃないか?と推測。
なるほど・・そりゃ圧倒的に量は多いわな。

それに、麦芽の挽き分けについての記述がない
というのも、ちょっと驚くべきことですね。

今では、ハスク:グリッツ:フラワーを2:7:1にする
というのは基本原則ですが、当時はあったのか?
というと、挽き分けの機械は導入されているのは、
わかっているのですが、こちらもまた、
「ウイスキー並びに酒精製造法」に記載がない、と。

竹鶴翁自身、粉砕に関しては書くことはなく、
粉砕方法の如何によって、ウイスキーの品質に
影響はないと言い切っちゃってるあたり、
ネトルトン博士の影響だったのでしょうかね?

挽き分けについて、このときはともかく、
後年、どう考えてられたのか気になります。

(4)日本酒製造との比較

竹鶴酒造の出であって、大阪高等工業学校で
醸造学を学んだ竹鶴翁らしい日本酒造りとの比較が
あちらこちらに見受けられるというのも、
興味深いところですね。

ウイスキーの品質の根幹を成すものとして、
製麦を挙げてられますが、地方の酒造家が
灘五郷の製麹法をそのまま真似てもうまくいかないように、
スコッチの方法をそのまま真似ても、日本では
うまくいかないはずだ・・というくだり。

ここ「灘五郷」を書いちゃうんだ・・とどうでも
いいところでクスッしたりしちゃって(笑)

(5)乾燥

実習されたヘーゼルバーン蒸留所では、
コークスの代わりにウェールズ産の「無煙石炭」と
ピートを合わせて使っているとのこと。

この無煙石炭、麦芽に一層特別な芳香を加味する…
ということですが、実際何なんでしょう・・・

いずれにしても、日本にはコークスしかないこともあり
(実際は石狩平野でピート的なものが採れますが)
発芽後天日干しにしたあとで、少し乾燥炉で乾燥させる
というアイデアをすでにこの段階で出されています。

天日干しじゃなく、乾燥炉で乾燥することが
たとえピートを使わないにしても、ウイスキー的な
芳香には欠かせないということだそう。

(6)糖化

糖化槽が鉄製ということに、ちょっとびっくり。
鉄って錆びちゃうんじゃね?と素人は思うのですが・・・

あと糖化残渣ですが、(当時)牧畜がそれほど盛んでない
日本でどうするか?を竹鶴翁はすでに考えていました。
製麹の原料にどうか・・とのこと。

実験しなくちゃわからないってもありますから、
やってみてダメだったのかな・・・??

もうひとつは、糖化工程と労働問題をリンクして
考えている点。糖化の頻度と回数が、職工の労働時間を
どう定めるかと関連し、同じように日本では
できないだろうという指摘がありますが、
こういうところで出てくるんですね・・・・

(7)蒸留

蒸留方法やその初留・再留の度数については、
現代知られているのとほぼ同じですが、
ポットスチルの形状について、英国税法の
定めるところでほぼ同じ型になっているという指摘。

ウイスキーの製造上や品質上の理由だけでなく
ある種の制約条件が、ポットスチルのかたちを
つくっているというのは、おもしろい指摘です。

いわゆるネックが上向き下向きという話や
スッとしたストレートタイプやランタン型、
それにバルジ型という形状については
特に指摘はないものの、再留時に出てくる
ヘッド・ハート・テールに相当する記述はあり。

ハートは水を加えると、白濁するけれど
この白濁するものこそ、ウイスキーの芳香そのもの、
と喝破しておられたようですね。

・・・ということで、中途半端ですが
ノート1はここまで。かなり専門的な記述も多いのですが
素人ながらに見ていても、おもしろい内容。

ある意味、レプリカよりも読み甲斐があるかも
しれませんね。第二回も期待したいですねー!

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