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名古屋城の将来を語る市民大討論会(2)

さて、ここからは中部大学・片岡靖夫教授のお話。
以前にも名古屋城木造の課題について、
名古屋市に結果をレポートすることがあったそう。

でも、ホントにそうなのか?と思うところがあり、
さらに1年、研究室の学生さんと研究を進めて
こられたのだそうです。

ということで、どんな課題があるのか、
どう乗り越えないといけないのか・・
を解説いただきました。

■いつの天守に復元する?

いつの時代に復元するか?という点。

名古屋城天守、創建は慶長年間ですが
宝暦年間に天守が大きく傾き、大工事により
修復された歴史があります。

先ほどあったように、宝暦修理後の天守は
昭和に実測図があるため、かなり再現性は高いわけですが、
慶長創建時に戻すとなると、相当なハードル。

しかし、これはもし復元する・・となれば、
宝暦修理後ということで、コンセンサスは得られる
という気はしますので、あまり問題ではないかな、
と個人的には感じますね。

■木材の調達・品質管理・検査

これも先ほどの話にあった調達性の問題。
やっぱり、市場から調達しようというのがマチガイなんじゃ?
という気がします。三浦先生の話が正しいとするなら。

大洲城の再建の例。高さは約1/2、体積は1/8と
名古屋城に比べれば小さい天守ですが、
かなり忠実に木造再建された城なんですよね。

大洲城の場合、なんと募金かつどうならぬ募木活動で
材木を集めたのだそうです。個人、神社、寺院が所有する
山林から伐り出した材木で、再建されたんですって。

続いて、品質管理。
木って含水率が高いんですが、永く何百年も耐えうる
建築物の材として使うには、中までしっかりと
含水率を下げる必要があるんですね。

このあたりは、ウイスキー樽の製樽とも共通しますが
樽はせいぜい50年程度、こちらは何百年と持たせるわけで。
しかも、圧倒的に大量の材木を乾燥させなくてはいけません。

ここをどうやるかが大きな課題のひとつ。
なるほど、大径木が手に入ってもこれは大変かも・・・

さらに、製材していく中で本当によい部分だけを
使っていくわけですので、材が全部使えるわけではない。
ということは、相当量の原材が必要なわけですね。

■火災に対する耐性

要は、安全性のクライテリアを確保するために
どういう構造体にするかという点。
この検証のために作られたのが、この模型。

P1090156

基礎部分だけの模型ですが、城好き的には
かなりテンションがあがる模型です!

まず、火災について。確かに木は燃えやすい。
しかし・・しかしですよ。

燃えやすいのは、一般住宅で使われるような、
比較的細い材の場合であって・・・

天守に使われる大径木の材、燃えたとしても、
表面が炭化することで酸素を遮断し、中までは燃えにくい
という性質があるのだとか。

これは最近法律でも認められ、結果的にイベントホール
などの大規模建造物の木造建築化ができるように
なったんですって。これは朗報ですな。
消防法のネックも解決できるかもしれない!

そもそも、同じ木造建築とはいえ、
戦いのための建物なわけで、戦火にある程度は
耐えうる構造はしていて、同じ木造でも
寺社建築などとは違い、密林のように大量の木材が
使われるのも、天守の特徴なんだそう。

■反りの美しさ

話は、破風の反りのカーブの美しさに
変わっていきます。片岡教授は「惚れ惚れするような」
と表現されてましたが、まったくその通り。

どの城郭建築を見ても、反りの美しさは
見所のひとつなんですよね。

片岡教授は何か・・・数学的な関数に
なっているに違いないと予想されたそうです。
放物線や双曲線のような。

あるとき、これは懸垂線ではないか?と直感。
長さと重さが決まると自然に決まるカーブ・・・
まだ確証とまでは行ってないそうですが、
そんな予想をされているんだそうです。ふむ。

■地震に対する耐性

慶長創建時宝暦修理時では、耐性がずいぶんと
違うようで、瓦葺でかつ厚い土壁で重かった
慶長創建時天守は、耐性が低いようです。

上記のリンク先は、広島大の三浦先生のページですが、
慶長度天守は最上階の入母屋屋根だけが、
銅板葺なのに対し、宝暦修理後は全体的に銅板葺。

銅板葺の宝暦修理天守は、ずいぶん軽くなって、
土壁も宝暦修理に軽量化する工夫がなされたのだそうで
軽量化した宝暦天守で計算すれば、現代の基準でも
地震に対する耐性は、十分に満たせる内容。

そういや、江戸城寛永度天守はそもそもが銅板葺。
あのくらいの巨大天守になると、銅板葺じゃないと、
持たないのでしょうなぁ。

もちろん、建物だけじゃなくって、
名古屋城天守のある場所の地盤構造なども
綿密に調べる必要はあるみたいですけどね。

さて・・続いては、市民の皆さまの意見表明。
直接、木造天守に関わらないものもあったんですが、
そこは割愛をさせていただきつつ・・・

もちろん、わたしは木造再建に賛成。
なんですが、たぶん城好きの皆さまの中にも、
かならずしも、賛成というわけではないでしょうし、
むしろわたしも、反対意見がどうなされるのか、
というところに関心があったんですよね。

物事を決める際に、賛成意見がたくさんあると
心強いものですが、ブラッシュアップするにはやっぱり、
反対意見との鍔競り合いが必要だと思うんですよ。

いくつかご紹介すると・・・

●天守よりも、本丸中心に全体的な本来の景観を
 忠実に復元してほしい。

●天守を本来の姿に戻すことで、「本物」という
 質の高い文化を提供できる。本物こそ価値。

●まずは広く市民の意見を募り、住民投票をすべき。
 建設工事や費用の内訳、現天守の解体現場を広く公開。
 資材は一級品を使い、宮大工の匠の技で復元。
 中途半端なものは残してほしくないし、
 そうなるなら、復元はやるべきでない。

●所詮、復元は復元。木造もコンクリも変わりはなく、
 現天守を取り壊してまで木造にこだわる意味はない。
 本物にはなり得ない。この構想は市長の自己満足。

●江戸期は五層五階。外観復興天守は五層七階。
 当然江戸期の天守はエレベータもなく、人に優しくない。

●昭和30年初頭の「二度と燃えない天守」をつくれ、
 との市民運動があった。その成果たる現天守と
 当時の市民の想いを護り、未来に伝えるべき。

てことで、最後の3つは同じ方の意見なんですが
しっかり反対意見を述べられていて、個人的には安堵。
賛成論者だけの寄せ集めだったら、議論にならないものね・・・

が、ただ本物とは何か、天守とは何かを
誤解されているなぁ・・というのがわたしの印象でした。
# わたしの意見は最後の最後にとっておくとして。

てことで、休憩を挟み、パネルディスカッション。
うー…思ったよりも内容がボリューミーだわ。
とてもじゃないが、一気には書けない・・・

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