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夏の西日本・城と酒に溺れる旅 … 竹原(4)

こちらが、蔵の2F。元々の本蔵に当たり、
築約250年。大きな梁が通り、
どっしりとしたつくり。建物好きとしても
かなりうれしいですね。

P1000141

よく見ると、梁は自然のまま曲がっていて、
その曲がりも上手く利用されてるみたい。

P1000143

裏手が崖になっているために、
その崖のラインに沿って、少しカーブして
建っているのだそうですね。

建物のお話から、古い建物で
酒造りができる喜びについて、お話が進みます。

もちろん使いにくかったり、メンテしづらい
ところもあるにはあるのですが、
やはり、有難いことだと。

200年以上の前に、自分たちと同じように
酒造りに精を出していた人がいる・・

もし、ご自分がこの先長く杜氏として、
酒造りに携われたとしても、歴史の流れからすると、
ほんの点に過ぎないということを感じるそうです。

そして、そのような歴史という視点を通して、
酒造りという仕事を俯瞰すると、
「ただ今の時代に売れさえすればいい」という、
酒造りが許されないことも。

後世に何を残すか。後の世代に、いい蔵だったり
いい酒造りのDNAを残してくれたなと思えるような、
そういう酒造り。

ここで、またわたしの頭の中に、
久光チーフが登場します(笑)

久光さんは、

 今ブレンドできているのは、先人が夢づくりを
 してくれたおかげ。過去に感謝しつつ、将来の夢をつくる。

酒造りって、酒は違ってもその心構えというか
心意気というか、どこか似通ってくるのでしょうかね。

閑話休題。

今を遡ること10年前。2001年に中国地方を
襲った芸予地震がありました。
M6.7、最大震度6弱という大地震。
竹原でも、震度5くらいは揺れたでしょう。

そのときも、石川さんはこの蔵に
いらっしゃったそうで、やはり相当揺れて、
被害が大きいだろうと点検したら。

土壁にすらひびも入らず、しっかり建っている。
そのわけは、ガチガチに固定しないしくみ。

遊びのある組み方は、地震の際には揺れるけれど、
その揺れを吸収し、キチンと形を保てたんですね。
・・・これも、先人の遺産、知恵。

これひとつとっても、いいモノを残して
くれたなと思えるわけです。

酒蔵の中には、そういう歴史をぶった切るような
ことをしているところもあるといいますが、
まぁ、もったいない話ですよね。

わたし個人的には単にもったいないなぁ、
と感じるだけでなく、先人の知恵を軽んじる姿勢には、
傲慢さも感じてしまいますね。

後代の自分たちのほうが、より知識があり、
より高度だという。ホントに?って。

そういう、いいモノを長く後世に・・
という意識で改装したのが「酛(もと)場」。

P1000153

発酵の主体となる酵母を育てるのが、酛場。
強くたくましくアルコール発酵できる酵母を
育てておかないと、後の工程が安定しないとか・・

昔の人は「酒母」と呼んだそうで、
その大切にする感覚が呼び名にも現れていますね。
また、「酛」の字は、日本酒にだけ使われる国字。
酉偏には、酒関係の字が多いですよね。

さて酛場ですが、広い道場のような空間。

P1000154

規模の割には、非常に広い酛場。
江戸時代に確立した木酛造りを実践している
竹鶴酒造では、酛をつくるのに桶を並べたり、
作業するスペースが広くいるそう。

木酛造りが増えるに従い、手狭になってきたために、
物置にしていた奥のスペースとの仕切りを取り払い、
床を張りかえ、壁に漆喰を上塗り・・など。
床も外材ではなく、国産のヒノキ。

ただ、これは改造というより、この建物が作られた
当時の姿に近くなるように戻したのだそう。
同じお金を使うなら、後世にいい影響が残るものに、
という石川さんの想いが込められているんです。

床。これには、柿渋が塗られていて、
まだ塗っている途中だそう。

P1000164

夏の土用の期間に、柿渋を塗るのが
昔からの慣わし。

でも、これには科学的な根拠もあるそうで、
柿渋に含まれるタンニンと床材のタンニンが、
結合・定着するのに約3ヶ月くらい掛かるとか。

この夏の土用の間にやっておくと、
ちょうどの蔵の仕事が始まる11月頃に間に合う・・
ということで、経験的にその時期を知っていたのでしょうね。

さて、ここでつくられる木酛。
酵母による発酵を進めるにあたり、他の菌を
淘汰させ、安全な環境をつくるのが木酛。

乳酸菌による乳酸発酵でできた乳酸が、
この役割を果たします。

で・・ここで、酒処と乳酸発酵の話。
乳酸発酵、分かりやすい例としては、
ごはんを常温で放置すると、酸っぱくなる・・
というアレがそうなんですけどね。

そうならないように、ご飯を冷蔵庫に入れて
保管したりしますよね?

てことは・・・酒処として名高い
寒いところというのは、こうした意味から考えると、
伝統的な酒造りに適しているといえないんだそう。

冷蔵庫のような寒い環境は、
乳酸発酵が起こりにくいからなんですね・・

だからこそ、寒い地方の蔵は建物が丈夫で、
機密性が高く、気温を高く維持する
工夫がされているんですね。

柿渋。これを床だったり、桶だったりに
塗っていきますが、塗るとすごいニオイがするそうで、
蔵の中で塗っていても、ニオイが蔵の外でも
感じられるほど。その一方、柿渋が塗られた木材は
とてもいい色をしていて、特に濡れたときには
色が艶っぽくて、美しいそうです。

P1000169

三原・尾道・因島あたりは、良質の柿渋ができる産地。
最近では、造り手が少ないらしいですが、
いまや近いところでは2軒ほどしか、柿渋をつくっている
ところはないそうです。

柿渋には防腐効果、強化効果の2点が特徴で、
魚網や釣り糸によく用いられたとかで、
化学繊維の登場で一気に出番が少なくなったそう。

その他、古いタイプの天守・櫓の下見板にも、
柿渋が使われていたと思います(笑)

・・・さて、続いては木桶の見学!
長いなぁ・・ホント長い(笑)

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コメント

う・うわー こんなところまで見せてもらえたんですかっ!! もう 羨ましいを通り越してますっ。

と・冷静に考えればnikkoさんのレポート付で中が見れたと思えばラッキーかな(^^)v 

竹鶴DNA ありますねぇ

投稿: ウイスキーねこ | 2011.10.02 15:15

nikko81です。

●ウイスキーねこさん

もう、大興奮のひと時でした。
偶然とはいえ、こんなに充実した見学は
なかなかないですね。しかも、無料!

レポート、竹原がイヤに長くて、
若干間延び気味ですけど・・試飲を終えたら、
いよいよ竹原ともさよならです・・

この西日本の旅のほか、余市に加え、
超絶長くなると思われるWhisky LIVE Taipei、
さらに一昨日からのマイウイスキー塾。
細かいのも入れると、いろいろあるんですが・・
今年中に書ききれるのか?

来週はCEATEC、秩父WhiskyPartyもありますし、
今月中に軽井沢には行っておかないといけないし・・

時間が足りませーん(笑)

投稿: nikko81 | 2011.10.02 16:58

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