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夏の西日本・城と酒に溺れる旅 … 竹原(3)

さて・・・いよいよ、蔵の中に潜入!
最初に見えてくるのが、醸造用井戸。

P1000126

仕込み水や米を洗う水など、現在の竹鶴の製造に関わる
一切の水をこの井戸水を水源としているそうです。

蔵の中にも、石組みで手掘りで掘った古い井戸は
あるそうなのですが、掘りが浅い井戸は、
生活排水が流れ込んだりするなど、
水質が悪化しているそうなんですね・・・

酒づくりは水が命、ということで、
心機一転、地下126mまでボーリングして、
掘ったのだそうです。

ちょうど、西方寺普明閣の建つ崖の真下に当たり、
竹原市街の砂地の堆積層と、この崖(岩盤)との接点。

砂地を掘った井戸は、当たり前ですが、
水が沁みやすく容易に湧き出ますが、
岩盤に向けて掘った場合、水脈に当たるまで、
からっきし水は出てこない・・・

ということで、水脈に当たるか否か、
いささかギャンブルのような試みだったそう。
井戸掘り屋さんの見積もりでは60m。
実際には、倍以上掘ったわけですね。

ただ、100m以上も地下の水脈で、
地表近いところの水質が悪化していたとしても、
まぁ、しばらくは水の心配はないかな、と。

これだけ深くなると、そこらへんのポンプでは
吸い上げることはできず、底に細長い
水中ポンプを据付け、このタンク内の圧力で制御。

P1000127

圧力が下がったら汲み上げ蔵の各所に
水を供給し、必要量の水が吸い上がって、
タンク内の圧力が上昇したら切れるような仕組み。

水質は、超軟水。呉、安芸津、竹原といった
あたりは軟水地域だそうで、西条よりもさらに軟水。

実は、軟水って酒造りが難しいらしく、
腐りやすい酒だったのだそうです。

転機は明治末期。広島杜氏の父と言われる、
安芸津の三浦仙三郎氏が、軟水醸造法を確立して、
広島の酒が更に飛躍したんですね。

ミネラルが少ないと、酵母の働きが低調になり
発酵がなかなか進まず・・・ということで、
アルコール分が少なく、それだけ腐りやすかった、
ということなのかもしれません。

軟水には、軟水の性質に沿った酒造りを
することが大事。いくらよい米を使っていてもダメ。
水のチカラ、米のチカラ、それぞれが持つ自然の力を
如何に発揮させる酒造りをするか・・・
これが、石川さんの酒造りの大事な点だそうです。

こちらは、酒米の稲。主に観光客やイベント時に
実際に使用している酒米を展示する為に、
一本苗で様々な品種を植えてられるようです。

P1000129

さて、いよいよ蔵の中。わくわく。

P1000130

竹鶴酒造さんでは、白米を洗うところから
仕事が始まります。あれ?精米は?

数%しか削らない食用米とは違い、
酒米の精米は、かなり削らねばなりません。

削らない品種でも精米歩合70%程度にまで、
かなり削る大吟醸で40%まで削り込み、
柔らかい組織だけにしていくんですね。

この精米工程、もちろん自家精米している
酒蔵もあるそうですが、酒米用精米機ってかなり高額。
標準クラスでの2,000万円程度、さらには
精米するための技術者も付けておかなくちゃいけません。

ということで、中小の酒蔵ではコスト的に
見合わないということで、専ら委託精米。
西条にあるパールライスの精米工場で精米され、
竹鶴酒造に入荷されてきます。

なんだか、ウイスキーの世界でも専らモルティングは、
モルトスターに任せて、スペックを指定して
麦芽の状態で入荷する・・というのに、
どこか似ているかもしれませんね。

水に浸しておく・・のは、食用米も酒米も
同じではあるんですが、かなり磨きこんであるので、
中心の柔らかい組織だけになっていて、
吸水のスピードがものすごい速いんですね。

ちょうどいいくらいの含水に留めるための
限定吸水する加減が、杜氏さんの技術のひとつ。

ストップウォッチ片手に、30秒単位で見極め。
引き上げ始めから、引き上げ終わりまでに
吸水する水分量も勘案しつつ、絶妙のタイミングで
引き上げていきます。

で、こうして洗った米を翌日蒸していきます。
こちらは、酒米を蒸す釜場。

P1000133

イヤに小さな蒸し器(甑:こしき)がひとつ、
ぽつーーーーんとしておりますが・・・

その昔、大きな釜が鎮座しており、火を焚いて
蒸していたそうな。その際に煙の抜ける
煙突のあったそうです。

ですが、今はボイラの蒸気で蒸すため、
釜も撤去、煙突もなくなってしまいました。

・・・が、呼び名がないので、
未だに「釜場」と呼ぶそうです(笑)

この釜場で、米を蒸す作業は、
朝早くから行われ、あたりは蒸気でもうもう。
その蒸気が、冬場にはもくもくと酒蔵の上を漂い、
酒づくりの町の冬の風物詩にもなるんですね。

こうして蒸した酒米から、麹米と掛米ができますが、
この後の4段階の工程、すなわち酛(もと)、
添(そえ)・仲(なか)・留(とめ)のすべてで、
麹米・掛米が必要で、それぞれに適するように、
8種類を造り分けなくちゃいけないのです。

これ、ひとつの甑をつかって同時進行で
蒸していくんですよ!

初心者が見ても、どれが何用の何米なのか、
点でワケが分からない・・とか。
若い衆も最初は戸惑うポイントなんですって。
・・・そりゃ、そうだわ(笑)

こちらは、麹室。デンプンを糖に変える
麹菌を育む麹米をつくります。

P1000138

繁殖しやすいよう、暖かく(暑く?)していて、
何度も出入りすると風邪を引きやすいんだそう・・・

どんなお酒も、糖分を酵母がアルコールに変える
「発酵」という仕組みを使っているのは共通で、
原材料や発酵のさせ方が、それぞれ違っています。

ワインなら葡萄に含まれるブドウ糖。
潰して発酵させればワインになりますね。

ビールなら二条大麦。ただ、麦そのものは
糖は少なくデンプンばかり。

麦が芽を出して成長する際には、酵素を出して
デンプンを分解して糖に変え、栄養素として
成長しますが、これを横取り(笑)するのが
ビールの製法上、糖を得る方法。

では、日本酒はどうか。もちろん、原料は米。
こちらもデンプンを糖に変えてやらねばいけませんね。
ここで酵素の登場するわけですが、この酵素を
麹菌につくってもらいましょう、というわけです。

もちろん、麹菌にとっては自分の成長のために、
分解酵素を出し、様々な糖分をつくるわけですが・・・
その種類も多いし、すごい量。

この種類と量の違いが、麹菌の違い、
ひいては酒質の違いへとつながっていきます。

ちなみに、ビールも日本酒もデンプンを分解して、
糖を得るところは同じですが、酵素量が
圧倒的に麹菌のほうが多いため、
得られるアルコール量もかなり違ってきます。

ビールは、5%から多いものでも10%程度。
日本酒の場合、アルコールを添加しない
純米酒でも度数が20%を超えるような酒ができることも。

石川さん曰く、醸造酒の中では、
世界一度数が高い酒・・世界最強!!!
なのだそうです(笑)

しかも、いろんな酵素・・のなかには、
デンプン分解酵素だけではなく、
タンパク質分解酵素もあれば、脂肪分解酵素も。
そして、その分解の仕方も様々・・・

酒の特性とは、複雑さな味わいにあり!
とおっしゃいます。ただ甘い、ただすっきり・・・
それは、酒本来の味わいじゃないと。

一口にどうと表現しきれない・・のが、
本来の日本酒。これ、けっこう衝撃的なコメント。

変化の幅でいうと、ウイスキーが圧倒的だ
とは思いますが、日本酒もそうなんだ・・・。

石川さんは、ワインの世界と違って、
ソムリエに相当する職業がない理由として、
日本酒は、どんな料理にも合わせられるから、
と考えます。必要がないんだと。

ま、その是非はいろいろ議論はあるでしょうが、
日本酒はそういいたくなるほどの、
懐の広い酒ということなんですねぇ・・・

長すぎるので、切りましょうか(笑)
蔵の2Fに上がり、石川さんのお話が続きます。

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