ブレンダーズウイスキー No.14を愉しむ会。
1週間以上前ですが・・・6/17の夜、
Blender's Barの新しいウイスキーの会に参加。
No.13に続いて、No.14をブレンドした、
綿貫ブレンダーを招いて、その設計のポイントを伺います。
まずは、いつものカフェソニックで一服。
ぷはー・・
綿貫ブレンダー。
2009年からブレンダーをされていて、
それまでは弘前工場で、シードルの品質管理や
商品開発をされていたそうです。
テーマは、Full blossom。
ブレンド比率を見ても分かるのだけど、
ものすごく宮城峡に比重を置き、宮城峡の華やかさを
前面に出しながら、満開の花をイメージ。
Fruity & Richを41%を使うという・・・
かなり宮城峡寄りな構成。
それでも、余市Woody & Vanillicや
Sherry & Sweetもわずかながら含まれ、
味わいにコクと奥行きを出しています。
飲み口はドライ辛めな感じとしつつも、
グレーンの甘さでバランスを整えています。
フルーティさの源であるエステル成分が
加水によって引き立つので、少し加水して、
香りを立たせて頂く・・のがオススメだとのこと。
味わいは、スパイシーでドライということで、
香りの華やかさと比べて、そのギャップと
飲み飽きないドライさという点を
重視されているようです。
以下、わたしのコメントです。
香りは、宮城峡だとすぐ分かるフルーティさ。
バニラ香もあるけれど、加水後に
より押し出されてくる印象。
Woody & Vanillicはさほど使われていないが、
思った以上にバニラ感あり。
味わいは確かにドライ。香りの華やかさがあるだけに
そのギャップがすごく感じられる。
新樽系に由来するであろう渋みやスパイス系の
刺激もあったりして、いわばデレツン。
続いて、ブレンダーのお仕事について。
まずは、美味しいウイスキーづくりに必要なこと・・・
自然、時間、人の技、そして・・・情熱。
竹鶴スピリッツを受け継ぐ情熱が
ニッカを支えているわけです。
左から初代・竹鶴政孝、二代・竹鶴威、
三代・佐藤茂生、四代・山下弘。
歴代のマスターブレンダー。
この「常に新しい可能性を探る」という点が
やはり大事ですよね。創業者・竹鶴政孝に
尊敬の念を持ちつつも、常にそれを超えようとする心。
新しい可能性を探るブレンダー。
その役割を「あ」「ゆ」「み」という言葉で集約。
あ:安心づくり
ゆ:夢づくり
み:魅力づくり
もちろん、口に含むものですから安心安全はいちばん。
それに加えて、Whisky Loversを虜にし、
ウイスキーづくりに励むニッカの方々とともに
追える夢をカタチにすること。
そして、Whiskyを知らない人にも、
このかぐわしき世界の魅力を知ってもらうための
魅力を発信していくこと。
この3つがニッカのブレンダーのポリシーだそう。
得てして、ウイスキー好きはマニアックな方向に
走りがちではあるんですが、もちろんそういう趣味も
適度に(笑)満たしていただいて、
ぜひ、ニッカならではのウイスキーの取り込み方を
見せていただきたいなぁ、と思いますね。
その想いは地道な作業によって支えられています。
地道な作業の典型・・・原酒のサンプリング。
ウイスキーの設計に欠かせないレシピは、毎年更新。
ある特定の銘柄の香りと味わいを守らねばならない一方、
ひとつとして、同じ樽はないわけで・・・
だから毎年チェックして、「あの」香りと
味わいを守るためにどう設計するか?
を毎年更新しないといけないんですよね・・
そのために、全部の貯蔵樽を
サンプリングして回るわけなんですね。
ウイスキーを注入する樽穴のダボ栓を
開けるBANG。けっこう重いよ。
開ける時に大きな音が鳴ることで、
拳銃を音がそのまま名前になったそうな。
一度にひと樽から700mlのフルボトル一本分を抽出。
これを貯蔵庫にあるすべての樽から取り出すわけで・・・
相当な重労働ですよね!
数段積まれた上の樽から抽出するときなど、
暗くて足元がおぼつかない中では、
なかなかキケンな作業のようですね・・・
全工程が終わるのはなんと1ヶ月!
それだけ多くの樽が眠っているということです。
こうして持ち帰った樽を官能検査。
ここにあるだけで120本。総数は1,500本にも
及ぶそうですっ☆
これを一度にティスティングするって、
素人考えではいいなぁ・・と暢気に
考えてしまいそうですが、かなりの集中力を要するシゴト。
飲んだくれていいわけじゃないですからね!
これだけの数の原酒を丹念にティスティングし、
約3ヶ月掛けて「処方」にまとめていきます。
ブレンダー室の皆さん。
室長の久光チーフをはじめ、早々たるメンバーですが、
なかなかこういう風景がいつもあるわけではなく(笑)
ブレンダー室ならでは、エピソード。
ちょうど赴任されたころは官能評価が始まってる頃。
なかなか慣れないなかで必死に追いつこうと、
日々努力されていた綿貫ブレンダー・・
そんなある日のこと、突然鼻血が!
鼻の粘膜がやられたのでは・・と。
でも、久光チーフブレンダーも、
けっこうむせ込んでて、ゲホゲホしているらしい!?
あと、ブレンダーって華やかな印象をありますが、
実際は重労働や地道な作業もあって・・・
そういうキモになる作業こそ、ベテランの久光チーフや、
山下ブレンダーがされていて。
やはり、どのような職業にも光と影というか、
華やかな部分とスポットライトの当たらない影の部分が
あるものですよね。そして、そういう影こそが、
光をつくっている・・影をおろそかにしちゃ、
光は映えないものなのでしょう。うーん、深イイ・・・
たまには、影ばかりじゃなく、わたしも光を浴びたひ・・
なーんて・・・妄想・・
なるほどねぇ・・・綿貫さん、
貴重なお話を有難うございました。
さて、ここからは「いつも」のBlender's Bar飲み。
もちろん、いろいろ頂きましたが、
ここくらいでしかもう飲めないでしょう、
70周年記念のSingle Grain。ボトルも香りも味も好き。
まだ残ってはいるんだけど、空き瓶くれないかなぁ・・
交渉かなぁ・・
« The Society Summer Sampling 2011。 | トップページ | 祝・復活 陳建一麻婆豆腐店! »
「イベントレポート」カテゴリの記事
- 去年の今頃はシリーズ(8-2) 講演:恵林寺講座 平山優先生に聞く武田信玄公 品第一(2017.03.16)
- 去年の今頃はシリーズ(8-1) 講演:恵林寺講座 平山優先生に聞く武田信玄公 品第一(2017.03.16)
- 講演:第86期「歴史文化教室」 武田勝頼の滅亡と景徳院 … 景徳院 武田勝頼・信勝・北条夫人供養塔の研究成果(2017.03.11)
- 「作曲家 植松伸夫の創作の軌跡」(2017.03.06)
- 講演:日本の木造建築技術の至高・江戸城天守復元(2017.03.06)
« The Society Summer Sampling 2011。 | トップページ | 祝・復活 陳建一麻婆豆腐店! »
コメント