秩父蒸留所…その1。
さて、蒸留所。
総勢8名でワゴンタクシーを手配して向かいます。
西武秩父から約11km。
ちょっと普通のヒトじゃ、徒歩圏内ってわけには
いきませんね(笑)
緑あふれた秩父みどりが丘工業団地に
蒸留所はあります。入り口にこじんまりと
樽が飾ってあります。天気がいいと気分がいいですね。
まずはゲストハウスで諸注意等を伺います。
なんと、社長・創業者である肥土(あくと)伊知郎氏が
直々に出迎えてくださりました。
そして、肥土さんが説明もしてくださります。
マイクロディスティラリーですが、その存在感は
ニッカやサントリーにも劣りません。
多くの表彰盾が飾られています。
カードシリーズは有名ですよね。
かなり製造工程の現場は暑くなるようなので、
軽い格好で見学。見学用につくられたところはなく、
足場が悪かったりするので、注意してくださいとのこと。
あるじさんところ(Bar Virgo)で伺っていた通り、
ヘビーピートモルトの蒸留を始めた、ということで、
ピーティな香りが感じられます。
しかし、びっくりしたのは肥土さんの解説の、
また詳しいこと!ま、それをなるほどーと理解する
メンツで訪れているんですけど・・ね。
●破砕工程(ミリング)
まずは、ミルルーム。
ここで、麦芽(モルト)を破砕する工程が行われます。
モルトはイングランド・スコットランド・ドイツの
モルトスター(麦芽製造業者)から購入しているとのこと。
この日は、OxbridgeのHeavy-peatedタイプを破砕。
ピーティ具合の指標となるフェノール値は、59.6ppm。
かなりピーティなほうだろうね?
こんな感じの袋に詰めたモルトを輸入しています。
一口、味見をしてみます。
ま、ニッカのスナックモルトみたいなもんでしょうか?
おつまみにもってこいな感じ。
一回の仕込には425kg、先ほどの25kg入りの袋を
17袋つかって行うそうです。小石などが混ざってないか、
目視でチェックした上で、ミル(破砕機)に投入。
上下に一対ずつのロールの間を割るように破砕。
どういった砕けぐあいか?をチェックするために、
適宜、異なる大きさの網の目があるミルボックスに
破砕した麦芽(グリスト)のサンプルを取り出し目視確認。
5分もミルボックスを振ると3つの部分、
皮のハスク、実のグリッツ、細かな粉のフラワー
に分かれて出てくるんですね。
で、この割合がウイスキーの品質にすごく大事!とか。
フラワーが多いと麦汁を生成する際に糖分を多く含み、
発酵工程で採取できるアルコールが増えるが、
ハスクの間で目詰まりを起こして、仕込がうまくできない。
逆にハスクが多すぎると、濾過できずに
にごった麦汁になり、また糖分も少なくなってしまう。
この絶妙なバランスが求められるのだけど、
一般的にハスク:グリッツ:フラワー=2:7:1
といわれているそうで。
だけど、やっぱり大麦は自然のもの。
品種や収穫年度、季節によって砕けやすさに違いがあって、
その麦その麦で割合を微調整していくのだとか。
●糖化工程(マッシング)
さて、その上には糖化槽(マッシュタン)で、
糖化工程に入っていきます。
麦の香りが漂ってきますね・・いい感じです。
温水の入った糖化槽に先ほどのグリストを投入。
マッシングマシンでよくかき混ぜて、糖分を抽出。
全部で1日に3回、温水を投入し、
それぞれ量・温度が異なるんですね。
1回目:1,700ℓ、64℃。投入後約30分で
デンプンが麦芽自身が持つ糖化酵素により、糖に分解。
そして先ほどのハスクが底面に沈殿し、
糖を含んだ甘い麦汁(ウォート)が濾過されていきます。
その濾過を制御するレバーの操作も
単純ながら結構難しいんだとか!
その後、20℃になるまで1時間半~2時間かけて
ゆっくりと冷却し、発酵槽(ウォッシュバック)へ。
1回目で約1,000ℓのウォートが取れるそうです。
2回目:1,000ℓ、76℃。2回目はマッシング、
とは呼ばす、スパージングといいます。
上から先ほどよりも熱い湯をかけて、
先ほど残っていたウォートをさらに押し出して
無駄なくウォートを取り出します。
ここでもまた20℃まで冷却して、発酵槽へ。
2回目でもまた1,000ℓのウォートが取り出せます。
3回目:1,300ℓ、96℃。3回目は発酵には使わず、
糖化槽に残ったわずかな糖分を回収し、
次の1回目投入の湯にします。
糖分のお残しは許しまへんで!
(忍たま乱太郎の食堂のおばちゃん風に!)
残った搾りかすは、牛の飼料に。
・・・ちょっと長くなってきたので、
いったん切ります。次は、気桶発酵槽での発酵工程。
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