上海遠征 vol.2 ~上海博物館後編~
さて、続いては陶磁器編。
最初はいわゆる土器という感じだけど・・・
気になったのが、後漢(東漢)時代の
緑釉陶器。これ、陶器で建物をつくってるんですよ。
この時代の建物のあり方を知る手がかりになる
貴重な資料になってんだろうなぁ。
ちなみに、日本では劉邦(高祖)による建国から
新の王莽による帝位簒奪までを前漢、
劉秀(光武帝)の再興から曹丕(文帝)による
簒奪までを後漢と言い習わしているが、
中国では、西の長安(現西安)に都した前漢を西漢、
東の洛陽に都した後漢を東漢というのが主流。
三国志の時代から、司馬懿・司馬師・司馬昭の司馬氏の
権力集中を経て司馬炎が打ち立てた晋(西晋)。
この時代にも、建物を模した陶器。
表現力はさほど変わってないが、建物の高さと
階層がずいぶん違っていて、時代の変化?なんでしょうかね。
同じく西晋台の虎・獅子の青釉陶器。
こういうの、サントリーの干支オールドっぽいですね(笑)
おっと、時代は前後しますが三国時代・呉の領域の
浙江省武漢市で見つかった人物を模った陶器。
あの三国志の時代・・という感動と、
あまりにコミカルな表情のギャップが・・・笑。
時代は下って、隋代の駱駝(らくだ)。
なかなか動きが感じられて、表現力が上がったなという感じ。
そして、唐。お待ちかね(?)の唐三彩です。
仏教の四天王のようないでたちで、
いえぃ!とでも言ってそうな(笑)躍動感ある像。
ふんぬ!
龍もカラフルですなぁ。この色彩の豊かさこそ、
唐三彩の魅力のひとつですね。
教科書や参考書で見た気がする、
馬の唐三彩。カラフルすぎて、シマウマみたいに(笑)
更に時代は下って、唐滅亡後の五代十国から北宋。
この頃になると一気にシブいデザインに変わっていきます。
で、おっと思ったのが、陶磁器製まくら。
かったいのによくまくらにすんなぁ・・・
このほかにもいくつか、まくらに出会いました(笑)
すっげー意外だった・・・
宋の磁器は白磁や青磁に代表されるシンプルなもの。
日本でもちょうど鎌倉時代に当たり、
武士の好みにも合ったのかもしれません。
・・・というなかで、宋代にしては珍しい色を発見。
この時代の磁器でキャラメル色ってあるんだなぁ。
落ち着いてはいるけど、ぬくもりを感じます。
この頃になると、荒削りではありますが、
周辺民族の磁器もちょくちょく出てきますね。
こちらはタングート族の西夏での作品。
続いて、契丹(キタイ)の遼での作品。
さらに、遼を滅ぼした女真族(満州族)の金。
こうしてみると、宋よりも周辺民族のほうに
なんだか惹かれた感じである。
更に金にはこんなのも!個性的な人物像つきの
磁器枕。インパクト大!
明代洪武帝の時代になると、造型の面でも、
一段と進化した姿に出会えます。どれも景徳鎮産。
龍と雲をあしらった双耳瓶。
明代成化年間の作品。この頃になると、
製造磁器の刻印がされるようになるんだな。
万暦帝の頃の作品。表情が豊かでおもしろい。
どこか田村正和ちっくな感じも?
下って清代・康熙帝時代。
水の流れと魚をあしらったもの。
オウム。造型の細かさ、正確さがすごい!
こちらは次代・雍正帝時代。
現代にも通じるあまり中国中国しないデザイン。
青釉をつかった龍が浮き出る文様が特徴的。
雍正帝は進んで高い技術をもった職人を優遇するなど、
陶磁器の発展には影響のあった人物。
清代最盛期の最後を飾る乾隆帝時代。
先ほどの雍正帝時代と比べて、時代が求める
デザインの違いが感じられますね。華やかさ大。
いままで出てこなかった人物図が描かれた瓶。
ここまで細かな描写が確立したのが清代なんだなぁ。
ほかにももっとゴージャスなのもあったり・・
黄金色っぷりがハンパじゃありません。
上下を別々に焼かれて、後から組み合わせ。
こういった華やかな色遣いは時代を反映するんでしょうね。
その一方で、景徳鎮ではなく宜興では
ずいぶんと違う焼き物がつくられていたりとか。
でも、これも乾隆年間。
途中、窯の様子を解説するコーナーもあったり。
また、景徳鎮から。かなり時代は現代に
近づいて光緒年間(1875年~1908年)の作品。
下の部分、なんか絵文字みたいに見えなくない?(笑)
もう・・・これだけみても十分お腹いっぱい。
これに絵画に貨幣に・・となると、上海博物館だけで
1泊しないといけないなぁ。美術品を堪能できて、
よかったけどね。また来たいわ。
続きは、静安寺から南京路をぶらぶらしたり、
東方明珠塔のそばでディナー(写真なし)、外灘とか。
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コメント
正直、この手の美術品はあまり得意じゃないのですが、
やっぱり歴史を感じさせるもんばっかですね~!!
青釉をつかった龍の壷が好みです♪
あかん!こんな壷、うちの父が見たら、またどこぞの窯元へ走ってしまいそうで見せられません!
投稿: あやのすけ | 2010.06.08 15:22
nikko81です。
●あやのすけさん
そうですか・・・美術品の類は大好きなもんで。
青釉をつかった龍の壷はよく出来てると思います。
やはり歴史の重みはありますよね。
投稿: nikko81 | 2010.06.09 00:10