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立ち止まって、消費をもう一度考える。

消費とは、モノを買うとはどういうことか?
これはかつて大学で経済学に触れたときから
考え続けているテーマ。

最近は、消費の現場から遠ざかったこともあって、
腰を据えて考えたことが少なかったけど、
ほぼ日刊イトイ新聞で続けて、話題が出ていたので、
今改めて、想いの丈をつらつらと書いてみることにしたい。

●消費と真剣に向き合う覚悟がありますか?
(ダーリンコラム 5/18)

かつて、経済学を学んだときには、
消費そのものにスポットライトを当てることは、
ある種のタブーな雰囲気があったような気がする。

経済は消費、詰まるところは人間の欲求や必要から
スタートして成り立つものなのだけど。

一方で消費という行為ほど、「人間のつかみどころのなさ」を
体現したものはなく、経済学は消費を与件として、
正面から扱うことを避けてきたように思うし、
またその考え方は、今でも変わってないのではと思っている。

経営学の世界では、経済世界で向き合う対象として、
消費の分析を進めてきたけど、マーケット全体としては
消費は確かにあって、いかにそのパイをかっさらうかを
考えてきたのでは、と思っている。
専門的に学んでないので、その点は感覚論でしかないが。

イトイさんの文章にはクルマを例にとって、
クルマは売れないということはないだろう、
と思っていたのが、実はそうじゃないと分かってきた今こそ、
消費の重要性にもっと気づけるんじゃないか、
ということをコラムで書いているんだけどさ。

ものづくりの現場において、効率性や生産性への
執着は実にすさまじいものであるけれど、
その真剣さと比べると、消費の現場と向き合う立場にいると
そこまでの覚悟とパワーを持って、お客さんと向き合う
自信を持つことが、すごく難しいことのように思えて。

誤解を恐れずに言うと、効率性や生産性という概念は
すごくロジカルであって、数字できっちり「見える化」できる
ということが、目標に邁進する大きな推進力になるのだけど、
先ほど言った「人間のつかみどころのなさ」を
相手にしないといけない消費の現場は、
いつもどこか不安を抱えながら、辺りの様子を伺いつつ、
半ば自らが進む道が正しいんだと、何度も自分に
言い聞かせながら、一歩ずつ歩みを進めてきた、
どうも、そんな気がしてならない。

見えないダーツの的の中心を狙うより、
見えている的の中心を当てに行くほうが
どれだけ努力しやすいことか、想像できるだろう。

本当に消費って大切だよねと気づきすらしなかったヒトも
いるんだろうけど、大切だと分かっていても、
どう向き合っていいのか分からずに、
対峙する術が分かっているほうにからだを向けていた、
というヒトも多いんじゃないかと思う。

|「生産」が圧倒的に「消費」より重要なんだ
|というイメージは、変わってはこなかった

のではなくて、変えたくても怖くて変えられなかった。
得体の知れない「人間とは何か?」に
情熱を傾けることに怯え、避けていたからではないか?

|しかし、そこでこれまで注いできた情熱と、
|同じくらいの分量の情熱を、
|「人間は、どういうことがうれしいのか」
|「人間は、どういうものなのか」
|「人間が、いやだと思うのはどういうことなのか」
|というようなことを考えるのに、振りむけていったら、
|理論ばかりでない実感としての、
|消費の経済が見えてくるのではないだろうか。

というイトイさんの言うことは間違いなく正しいと思う。
正しいんだけど、その情熱を傾ける覚悟があるかどうか。

なにをどう考え、どうがんばればいいか分からなくて
途方にくれていた宿題に手をつけることはできるか?
問題はその壁に対峙する覚悟、そこなんだろう。

壁を登りきったヒトもいると思う。
登りかけているヒトもいるだろうし、
登る覚悟ができたというヒトもいるだろう。

でも、社会全体としては壁の前でまごまごしているような
わたしのようなヒトが多いんではないかと思うんだ。

情熱を傾けたいという思いはふつふつとあるのだけど、
その思いをぶつける術が見つからなくて、
不完全燃焼してここまで来たというのが、
考え続けてきたテーマに対するわたし自身についての
正直な感想、というところ。

●パシリをやめて話し合おう。
 (ダーリンコラム 5/11)

というところで、さらに1週前のダーリンコラムへ。

パシリ考、ということで社会全体がパシリになっていないか、
つまりは、情報の受け手の言うことを隅から隅まで聞き出し、
言われたことをしっかりと対応すぎていないか?
自ら、パシリになろうとしてないかと。

イトイさんも書いてますが、これかつて言われた
「お客様は神様です」的な考え方なんだと思うんですね。

「パシリ」的というか、「お客様は神様」的な発想には
ある重要な点があることに気づいた。

それは、ヒトとヒトの関係を簡略化させようとし、
上で書いたような「人間のつかみどころのなさ」を
本人たちの口から何をしてほしいかを言わせることで、
ある意味、効率性や生産性と向き合うのと似た感覚で、
ユーザーや顧客と向き合おうとしている、のでは?

しかし、マーケティングに少しでも携わったことがあるなら、
消費者が自分の口で話すことが、そのニーズのすべてには
決してなりえないということは、分かると思う。

以前、プロダクトアウトとマーケットインの話で、
顧客の言うことを聴きましょうというのが、
如何に危ういかと書いたことがあったけれども、
言ったことを素直にやるところには、決して感動は生まれない。

お客さんにアンケートをとる。お客さんのところに出向いて、
直接意見を聞いてみる。ユーザを集めて
意見を出し合ってもらう…等々。

そこに書いてあることをどれだけ愚直に実現するか。
これだったら、できた/できてないを
測ることはすごくやりやすいし、人間とは何かという小難しい、
そしてできることなら逃げたい宿題をやらずに済む。

「パシリ」という関係を例に出して説明するのはすごく
分かりやすいたとえだと思うんだけど、
言われたことを愚直にやる・してもらう関係って、
ごくごくミクロな個人個人の人間関係に
置き換えて考えてみれば、ホントにいい人間関係には
なりえ…ませんよね?

詳細は割愛するけど、消費者がチカラを持ち始めた
といわれ始めた頃に経済学部生として、
卒論を書いたんだけども、買い手が表現力のアップを背景に
作り手や売り手と拮抗して、コミュニケーションを深めていく
可能性を書いたんだけど、なかなかうまくはいかないみたい。

相手の立場を理解したうえで、言いたいことを言いあい、
意見に違いがあれば喧嘩もし、その中で答えを紡ぎ出していく。
実際に直接担当者とユーザが話し合うだけじゃなく、
マーケットという舞台を通してだっていい。

そのためには、言われたコトではなく、
そのバックにあるヒトを識ろうとする覚悟を持つこと。

たぶんそういう関係のなかで生まれたモノは、
マーケットインとプロダクトアウトが
会話してできた貴重な結晶。

そういうものにヒトは惹かれるんだと思っている。

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「ビジネス」カテゴリの記事

コメント

こんばんはー。寝ようと思いつつ、巡回していたら!!!

「消費」っていま大学で経営学を学ぶ前も、学んでいる今もなおそう思うのですが、領域が横断的なんですよね。経済学、社会学、経営学、生活科学分野etc。

私がとある資格の勉強をきっかけにライフワーク的なものになりそうな「消費」を学ぼうと思ったときにどの方向からやるか、専門的に「消費」と向き合うなら学部はどこだろう?というきっかけで経営学と知り合いました。

本当は経営学ってあまり興味がなかったんですよ。何だかギラギラしたイメージを勝手に抱いていて、自分とは対極のタイプの人がやってるんだろうなとか思ったりもしていました。

経済学は数字がニガテな私にはとてもとても…でしたし、なので生活科学分野から見つめた経験に付加して実は社会学をやりたかったのですが、ちょっといろいろとありまして。

いまは経営学を学んでよかったなと思います。対極な分、人としてのバランスがとれた気がすることと学んでみないと違うアプローチがしたくてもわからない事もあると思って学び始めたのは自分には正解でした。

もう少し、記事の内容をよく読ませていただいてコメントをまたさせてください^^

投稿: てぃー | 2009.06.03 02:38

nikko81です。

●てぃーさん

確かに領域が横断的ですね、消費というのは。
横断的過ぎるからこそ、なかなか統一的な、
「これ!」という分析ができないのでしょうね。

個人的には、心理学あたりも大いに
関係してくる気がします。

経営学に対するむむむ…という気持ちは、
すごく分かります。なんか上手くはぐらかして、
消費をつくったり、操作してるんじゃないか?
という疑心暗鬼があって。

だからこそ、企業の側は何を考えてるの?
を知ることは、消費に深く思索する際にも、
敵を知るという意味で、大いに意味があるのかも
しれませんね。

経済学ではたぶんムリですね。数字が…
ということもありますが。そもそも消費だけに、
フォーカスし得ない何かがあります。

投稿: nikko81 | 2009.06.04 01:21

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