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城の価値いろいろ・その2

さて、やってきたのは広島県尾道市。

普通、城マニアが訪れるような場所ではない。
尾道は寺が集まる港町である。

しかし、あれはなんだ!

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誰がどう見ても城ではないか。
あれこそ、城に縁もゆかりもないのに、
昭和になって建てられた、
観光向けの尾道城なのだ。

尾道駅ホームから見上げれば、
眺められる尾道城。ぜひ近くで確認したい!

というわけで、わざわざこのために、
尾道までやってたわけさ。
ご苦労さまなこっちゃね。

眺めから受ける距離感では、
そう遠くはないのだが、
なにせ、坂と階段がきつい。

上に上がるまで何度も休憩しないと
上がれないほど、きつかった。

近くまで来て見上げる尾道城。
石垣、長細すぎませんか…?

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さて、正面。

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実は尾道城、廃城なんですわ。
管理していた企業が倒産とか何かで。

天守閣の入り口には、
もう誰も通ることのない入り口を守る門番。

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折れ曲がった看板。

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…うぅ。哀しくなってくるなぁ。

近くの展望台から前景を。

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鯱が片方失われてもなお、
尾道城は、瀬戸内の海をずっと見据えている。

ところで、2004年に尾道市の亀田市長が
この尾道城を訪れている

尾道ではこの「城」をどうするか
けっこう話題になっているのかもしれない。

古いものを大切にする町づくりを
進めてきたとのこと、
この尾道城はどうなるか。

きれいサッパリぶち壊すか、
あるいは普通の展望台にするか、
この建物を活かすか。

もちろん、城郭建築が好きな者として、
この建物を残してほしい、と思う。

歴史がないからといって、存在してはいけない
などというお城のお約束なんてない。

城は人が築いたもの。
もともとあるものではない。

それがたとえ観光目的であったとしても、
別によいではないか。

年始に訪れた伊賀上野城にて見つけた、
上野城を私財を投じて再建した川崎克氏のことば。

「攻防策戦の城は滅ぶときあるも、
 文化産業の城は人類生活のあらん限り、不滅である」

尾道商工会の方が、どのような意図を持って
尾道城を建てたかは、わからない。

しかし、城という日本建築の結晶は、
街のシンボルとなるはず。

歴史がないなら、歴史を造ればいい。
歴史を積み重ねればいい。
平和な時代の城として。

いまや、国宝となっている松本城。
その松本城も維新後は、
ずいぶんと荒れ果てたそうだ。

今、尾道城は荒れ果てているが、
再び多くの観光客で賑わう
尾道のシンボルとなってほしい。

さて、そんな尾道城を後にしつつ。

尾道は野良猫が多いと聞いたが、
ちっとも見なかったな。
さすがに朝方、寒いからだろうか。

次の目的地は、岡山県・高梁(たかはし)市。
現存12天守のうち、最も標高が高い場所にある
天守閣を擁する備中松山城。

ここまでの洲本城・徳島城・尾道城と違い、
江戸期当時の天守がそのままの残る。

天守閣を見るまでに、汗だく&ヘトヘトになっては
元も子もないので、天守付近まではタクシーで。

そこから15分ほど山道を登る。
もう、ここまできたらハイキングの世界だ。

こんな道なんだもの。

yamamichi

早く天守が見たいと焦る
気持ちもあるのだが、こんな立て札。

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はい、素直に従いましょ(笑)

意外とこの立て札、頻繁に出てきて、
いろいろアドバイスしてくれる。

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ちょくちょく石垣が見えてきたと思ったら…
おー。着いたようだ。

yokuzo

まず出迎えてくれるのは、
すばらしい高石垣。

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実はこの高石垣、時を経るごとに
変形が見られ、崩壊のキケンが出てきたそうだ。

そこで、出てきたのが京都大学防災研究所。
岩盤変動監視システムを構築し、
石垣のわずかな歪みをも監視し、
被害を未然に防ごうという取り組みをしている。

kyodai

しかも、備中松山城を試験地として、
日本だけではなく世界の山上の文化遺産を守る
貴重な技術蓄積に一役買っているとのこと。

この説明板には、南アメリカ・ペルーにある
インカ帝国のマチュピチュ遺跡が紹介され、
保存に役立っているようだ。

ちょっと感動したよ。
京都大学、いい仕事してますなぁ。

さて、感動もそこそこに、奥へと進む。

塀が残るのはわずかだけれども、
石段はよく形をとどめている。

isidan

そして、天守。小柄な2層建てだが、
きれいに修理され、とても美しく仕上がっている。

matuyamajo

ちなみに手前の五の平櫓、六の平櫓は、
いずれも復元であり、現存する建造物は
天守とその裏手の二重櫓のみ。

天守をアップで。やっぱ小ぶり。
大阪城の千貫櫓よか小さいでしょ?

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この天守は、外を眺めるのには、
余りふさわしくなかったが、
とても大事に修理されてきて、
手厚い保護を受けている。

天守を出て、外を眺めると
山上の景色。ずいぶんと登ったんだなぁ。

yama

ふと時計を見ると、次の電車まであと一時間。
まずい、時間ないんじゃない?
ということで、備中高梁駅まで
ジョギングして帰ることに。

タクシー呼びゃいいやん、てなもんだが、
一応、運動不足解消も兼ねてるので、
遅れたらまずいという風に、
追い込んで走りこんでみた。

マラソンは得意じゃなかったのだが、
いろいろなところを歩き回っているからか、
とりあえず残り30分程度を残し、
備中高梁駅までゴール。
4kmほどを40分くらいで完走。
チョットは体力ついたかな?

さて、ここからは特急やくもに乗り、
今回の最終目的地、島根県松江市へ。

ここも現存天守・松江城がある。

ずいぶんと昔に、松江城は見ているはずなんだけども、
そのときは小さすぎて、余り記憶にない。

写真で見る限り、好みの黒壁の天守閣であり、
ぜひもう一度、この目で確認したいと思っていた。

以前に島根を訪れたときは、
ここまで城にこだわっていなかったので、
パスしちゃったんだよねぇ。

途中、米子駅でこんな電車を見る。

kitarou

ゲゲゲの鬼太郎の作者、水木しげるが
境港市出身だそうで、米子から境港への
電車が鬼太郎バージョンになっているのだろう。

そうそう、備中高梁から米子に来るまで
車窓から見た民家に鯱が付いてたなぁ。
熊本でも、そんな民家を見たけど。

さて、松江に到着。日が暮れないうちに
松江城に直行だ。

手前まで来て、あれ?
こんな建物あったっけ。記憶にないぞ。

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多聞櫓も。

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うーん、と思いながら先へ進むと
チラッと天守閣が見える。

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そこから左に折れると、
先ほど見えた櫓の前に。

どうやら、最近復元されたようだ。
ええこっちゃ、ええこっちゃ。

さっきの多聞櫓は「太鼓櫓」といい、
城内に時刻を伝える太鼓があったことから、
この名が付いていたようだ。

さて、天守閣。

matuejo

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!

今まで見た中で、1,2を争うんじゃないか。
めっちゃかっこええやん♪

黒塀と千鳥破風(三角の部分ね)に残る
わずかな茶色がアクセントになって。

カタチもすごく均整のとれた
美しいフォルム。

夕日に照らされ、とても美しく輝いていました。

やったぁ。この時間に見れてよかった。

天守閣に入るのも忘れ、しばし佇んでて。
ずーっと見てても飽きないよ。

天守閣があっても木々にさえぎられ、
全体を確認できない城もあるというのに、
こんなに広いところで、勇姿を眺められる…

とはいえ、時間も時間、
さっさとしないと閉城するので、
チケットを買って、登城する。

松江は怪談で有名な小泉八雲こと、
ラフカディオ・ハーンとかかわりが深い土地。

ハーンも学生らと、この松江城に登城して、
宍道湖を眺めてたこともあるらしく、
建築術の妙を極めた大怪龍、松江城を評している。

ちょうど、こんな風景を見ていたのだろうか。

shinjiko

で、面白いのがこの松江城を築城したのが、
年始に行った伊勢亀山城を間違って
解体しちゃった、おっちょこちょいの堀尾吉晴

なんだ、いい仕事してんじゃないの。

きちんと彼が、丹波の亀山城を修築してれば、
いい城郭ができたのかもしれないね。

さて帰るころには、もう暗くなって。

南櫓と夕日。
城と夕日もなかなかマッチする。

minami2

さて、帰りはサンライズ出雲号に乗って、
東京まで一直線。乗車時間600分以上。

こんなに時間あるのに、
さすがに備中松山城でのジョギングが堪えたのか、
ずーっと寝てました…

月曜は午前半休なので、ゆったり出社。

関東圏はまだ行くと思うけども、
遠方まで城を見に行けるのは、
もうそうそう、ないだろうなぁ。

2日間で五城。やりましたよ。
特に対照的な洲本城・尾道城と
備中松山城と松江城。

城が現役の建物として使われていた時代、
城は権威の象徴でもあり、精魂込められて
造られていたはず。

だからこそ、城は日本建築の粋なのであり、
建造された建築物だけではなく、
建造の技術や心意気というところも
継承していければ、と思うのです。

今、城郭建築の復元は本物志向が強まっていると、
備中松山城五の平櫓の復元工事の説明にありました。

それはまさに、「本気」を見たいということ
なんだと思います。

そしてそこで、本物で得られる感動は、
堀井少年のこころに残ったように、
大人のこころにも残るすばらしいものとなるはず。

城の価値とは、歴史的価値だけではなく、
建造に懸ける人々の本気を感じたり、
また、あたかも美術品やプロダクトデザインを
眺めるかのように、城のデザインを楽しんだりもでき、
また周囲の風景に一味、アクセントを
もたらすこともできます。

ぜひ、今後も多くの城が残っていくように。
そして、新しく平和な時代の城も、
建造されていけば、なおいいんだけど。

あ、あと島根でちょっといい夕飯を食べたので、
別記事にしますよ~。

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