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美しい…このすばらしき曖昧なことば。

美しい。

このことばがキライな人はいないだろう。

しかし、美しいと感じるその感覚が、
あまりにすばらしいため、
美しいというものというものは、
こういうものなんだ、という
危うく偏狭な感覚につながることもある。

例えば、「守っていきたい美しい日本語」
なんてのもそう。

美しいのは、日本語だけですか?
他のことばは、美しくないのですか?
美しい日本語は、変化しないものですか?

今、氾濫していることばに、
疑問を呈するのは、普通にありうることだとは
思うけれども、お手本となる
「崩れる前の」ことばだけを、
どうして美しいと呼ぶのだろうか。

どうにもことばが変わるということを
どこか認めていない気がするところ、
疑問が呈されるようにことばが変わっていった、
社会背景だとかそちらの面にも、
関心が向かないといけないと思うのだが。

で、また同じようなもので出くわした。

「美しい景観を作る会」の悪い景観100景

醜い景観を改善するための世論喚起を図りたい、
とのことだけれど。

基本的に原色を使った派手な広告だとか、
自然を壊したものがモロに見える風景、
夜のネオンや自販機の明かりなどなど、
こうした風景が嫌われている。

しのぶさんも書いてられますが、
言われてなるほど、と思うものをあるが
なぜこれを?と首をかしげるものも多い。

ましてや、その土地や企業の事情を
どこまで知って言っているのか、
また、各風景のコメントに、
「気になる」「…はずだ」「残念な気持ち」など
主観的・断定的なことばが多く、
果ては、「貧相」だとか過激なことばも。

たしかに、すばらしい風景は捨てがたいものであり、
そんな風景に囲まれて生活できたら…とは思う。

また、以前は出張で、また旅好きなため、
いろんな街へ行くことが多いけれど、
どこの都市に行っても、
都市の中心は、同じような空間が広がっている。

その「同じような」を造っているのが、
紛れもなく、「美しい景観を作る会」が
指摘している派手な広告など、
景観を配慮しない建造物である、と思うし、
それは、非常に「残念」な結果ではある。

しかし、一方でそこで暮らしたり、
生計を立てている人にとっての何らかの必要が
そうした「醜い」景観を作っている、
という側面にも考えを向けなくてはいけない。

以前はそうではなかったじゃないか、といっても、
過去、景観を尊重したからではなく、
たまたま必要に応じて進化してきた風景が、
そうだったのかもしれないし。

本来なら歓迎すべき景観向上活動になぜか、
抗う気持ちが出てくるのは、

(1)とりあえず批判してみました、
   という一方的かつ安直な批判。

(2)痛烈な皮肉を交えて、わざわざ神経を逆撫でする
   景観説明の醜いことばの数々。

であろう。

わたしは、いつも思うことだが、
どんなことにも、極端さや過激さには
問題を解決する能力はない。

どんなに正論と思えることにも、
異論と戦わさねばならない。

自分が信じることと異論を戦わせるのは、
自分の信念を崩されるようで、
正直怖いことではあるのだが、
これをしないと、まっとうな意見とはならない。

心が軋むが、自分にも言い聞かせていること。

ぜひ、この活動について広く一般に
(いわゆる有識者だけではなく)
美しい景観とは、悪い景観とは何ぞや、
と問うべきである。
その結果、悪い景観を選定すべき。

今の状態では、「悪い景観」も、定例会合で決めたとはいえ、
そもそも景観に重点を置いた人たちだけで決めたような
一人よがりな選定にしか見えない。

活動の趣旨がまっとうなだけに、
非常に残念であるといわざるを得ない。

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旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。

景観や言葉など、その時代の流れや地域性など
様々な要素が絡み合って、形成されている
ものでしょうね。

そのような主観が入りやすいものに対して
客観的な良し悪しはなかなか決められないもの
だと感じました。

投稿: てぃー | 2005.12.25 02:18

この「悪い景観」のサイトが公開される前に
メンバーの顔ぶれを見て
「これはもしかして見た目オンリーの評価になるかも」
という気はしていたんですが、見事に予感は当たりました。

確かに選出された景観の多くは
お世辞にも美しいとは言えない雑多なものばかりだけれど
それらの姿を形作った社会的背景を考えると
単純に「悪い」と切って捨てることは
あまりに安易な選び方であると思わざるを得ません。

どんなに「醜い」風景であっても
その中には荒々しいエネルギーや美しい生命力が
必ずひそんでいると思います。
だから、私などは大都市のネオンの氾濫や
薄汚れた町工場の裏通りなどに
そこに生きる人のたくましさや貪欲さを見て、
むしろ頼もしい思いさえするんですよね。

もちろん、ご当地ならではの特色が薄れて
同じような町並みばかりになっているのは
残念なことだけれど、
自分だけ都会で便利な生活をして
地方の人には「昔ながらの土地柄を大切にするために
便利な近代生活をするな」
というのもあまりに身勝手な話ではありますね。

うーん、もっと面白い企画になると思ってたんですが
ちょっと残念だったかな(笑)。
まあ、メンバーのみなさんが芸術系の方ばかりだったので
こういった選出になるのも仕方ないのかなという気はしますです~。

投稿: しのぶ | 2005.12.25 02:40

nikko81です。

●てぃーさん

客観的に決められないものは、
やはり対話が必要です。
どの分野であれ、専門家という方々は、
そのような考えをお持ちと思っていたのですが…。

●しのぶさん

確かに見た目オンリーの評価です。

わたしもしのぶさんと同じ、
単純に外見で景観を悪いと決め付けることに
相当な違和感を感じます。

芸術系の方々が多いとなれば、
広告業界関係者、マーケッターや
エコノミストなど、経済面・実用面から
よい景観を考えるとどうなるか、
という視点も必要でしょうね。

投稿: nikko81 | 2005.12.25 15:36

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